バスクリン、生薬・入浴剤の可能性を広げるつくば研究所

C&T 2013年6月17日号 78ページ

カンタンに言うと

バスクリン、生薬・入浴剤の可能性を広げるつくば研究所

 入浴剤・育毛剤メーカーのバスクリンは、製品開発部・研究所の「つくば研究所」(所在地=茨城県つくば市)にて、生薬や温泉成分などの素材研究や安心・安全品質の製品開発を行っている。

 また、ロングセラーの「バスクリン」をはじめとする各入浴剤ブランドや、薬用育毛剤「モウガ/モウガL」シリーズなどの製品開発では、科学的根拠に基づいた価値の提供を目指し、研究開発を進めている。

 今回は、綱川光男製品開発部長(博士(医学)調香師)と石澤太市製品開発部開発3グループ長から、主力事業である入浴剤の研究開発を中心につくば研究所での取り組みについて話をうかがった。

調香師が1から創る「香り」を付加価値に
ユーザーが求める入浴剤価値を追求

 つくば研究所は、フレグランス室、粉体実験室、入浴剤評価室、人工気候室、安定性試験室、分析室、薬理実験室などセクションごとにそれぞれ独立した役割を担っており、研究所内には30名以上のスタッフが働いている。

 2010年に茨城県・つくば市への移転・新設から3年が経過し、綱川氏は「研究所周辺には大学や企業の研究所が点在しており、最先端の研究情報の収集や共同研究がしやすい環境にある。当社がまだ所有していない最新の研究機器を揃えている事業所も多く、それらをレンタルし、研究開発に活かせることも地域的なメリットだと感じている」と語った。

 「フレグランス室」では、パフューマー(調香師)が、時代のトレンドや生活者ニーズを取り入れながら、入浴剤の商品企画・コンセプトに適した香りを調香している。

 入浴剤において「香り」は、湯色や温浴効果とともに重要な要素の1つだが、同社のようにパフューマーが在籍している入浴剤メーカーは少ない。近年では、入浴剤メーカー各社より季節限定の香りなどの企画品の提案が増えているが、同社ではパフューマーが1から香りを調香する「強み」を各ブランドの製品開発に活かし、品質面での差別化を図っている。

 調香では、成分や色素、剤型との相性や、香りの持続性などを加味しながら開発を進めているが、同じ粉体タイプでもブランドコンセプトに応じて異なるアプローチが必要になるという。例えば、ファミリーユース向けの「バスクリン」では、家族みんなが快適・リラックス気分になれる香り、温泉入浴剤「日本の名湯」では、温泉各地の情緒・風情を取り入れた香りといったように、ブランドのコンセプトに合わせて調香している。

 「液体タイプの『ソフレ』、ブリケットタイプの『きき湯』など、剤型の違いによって、香りの質や持続性が異なってくる。そのため、1つの香りの調香に対し、100種以上の香料を組み合わせることも少なくない」(綱川氏)

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