資生堂は、肌内部の表皮幹細胞の減少を抑えると表皮のヒアルロン酸量が増加するという「表皮幹細胞とヒアルロン酸の関係」を世界で初めて発見した。同研究成果については、6月24~27日にスウェーデンのストックホルムで開催された国際幹細胞学会(ISSCR)で発表している。
同社は、ハリ・弾力のある肌への対応技術において、コラーゲンが肌のハリ・弾力に重要な構成組織であると位置づけ、30年にわたって研究を続け、これまでに世界に先駆けて真皮(Ⅰ型)コラーゲン、基底膜シート型(Ⅳ型)コラーゲン、吊り型(Ⅶ型)コラーゲンという3種のコラーゲンの肌における重要性を見出し、これらに対応するスキンケア化粧品の技術を確立してきた。
ユーザーが「ハリを感じる肌の状態」としては、「うるおいがある」「しっとりする」「乾燥していない」「みずみずしい」が上位に挙げられ、いずれも「うるおい」に関わる項目であることがわかっている(同社調べ N=927)。肌のハリ・弾力をより実感できるよう、これら3種のコラーゲンへの対応技術に加えて、今回は肌のうるおい成分「ヒアルロン酸」に焦点をあて研究を進めた。
表皮をヒアルロン酸で満たすには、「ヒアルロン酸を生み出す技術」の確立が必要であるため、同社では、表皮細胞を生み出し、肌の新陳代謝の源となる「表皮幹細胞」に着目し、表皮幹細胞が加齢により減少することを実証した。
さらに、表皮幹細胞とヒアルロン酸に関する研究を進めた結果、世界で初めて「表皮幹細胞はヒアルロン酸を生み出す能力が高く、ヒアルロン酸を表皮にとどめさせる能力が高いこと」「基底膜の分解を抑えると表皮幹細胞の減少を抑制できること」「基底膜の分解を抑えると、表皮のヒアルロン酸量が増加すること」を発見した。
同社では、これまでの研究知見を活かし、基底膜を分解する酵素のヘパラナーゼとゼラチナーゼの働きを抑える効果が高い「ムクロジエキス」「ウコンエキス」を採用した。今後は、昨年発見したボリューム型コラーゲンを生み出す「真皮幹細胞への対応」と、今回のヒアルロン酸を生み出す「表皮幹細胞への対応」を合わせた「W幹細胞対応」技術を確立し、今秋発売予定のスキンケア化粧品に応用すべく開発を進めていく。
この記事は週刊粧業 2015年8月3日号 12ページ 掲載
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