コーセー、化粧品成分のサンゴへの影響把握研究に本格着手

粧業日報 2020年2月20日号 4ページ

2020年2月20日 12:30

粧業日報制度品メーカー化粧品の研究開発

カンタンに言うと

人へ地球へやさしい化粧品開発めざし横浜国大・サンゴ養殖専門家と連携

　コーセーは、雪肌精「SAVE the BLUE」プロジェクトのサンゴ保全の取り組みで中心的な役割を担う沖縄のサンゴ養殖の専門家、金城浩二氏と連携し、サンゴに対する化粧品成分の影響把握に向けた本格的な研究に、2019年11月より着手した。

　さらに横浜国大大学院環境情報研究院尾形信一准教授とも同時に連携し、3者の共同研究によって、外観変化だけでないサンゴへの影響をより詳細に解明することで、海への環境負荷の低い化粧品の開発につなげることを目指す。

　近年、人が肌に塗っている日やけ止め料が海中のサンゴに悪影響を与えている恐れがあるとの研究論文を根拠として、パラオ共和国や米国ハワイ州、フロリダ州キーウェストなどの世界有数のサンゴ礁を有する地域で、日やけ止め料の販売や持込、使用を法規制する動きが相次いでいる。

　一方、米国パーソナルケア製品評議会（PCPC：Personal Care Products Council）では、化学物質がサンゴに与える影響を判断する科学的根拠は十分ではないとして、紫外線の悪影響から人を守るために有益な日やけ止め料の使用を止めることには慎重な姿勢をとっている。

　同社はこうした状況を踏まえて金城氏と意見交換を行う中、「SAVE the BLUE」プロジェクトで続けているサンゴ保護への取り組みを研究領域にも広げ、「海に入る人の肌を紫外線等から守りながら、サンゴにもやさしい化粧品の開発」を目指したいという両者の思いから、共同で基礎研究を行うことで一致し、事前準備を進めてきた。

　成育自体が難しいサンゴを用いた試験にあたって、20年以上の経験に基づくサンゴの生態に関するスペシャリストである金城氏の豊富なノウハウにより、確度の高い研究が可能となる。さらに、横浜国大大学院の尾形准教授にも参画してもらい、サンゴの外観等の変化のみでなく、遺伝子レベルでの生化学的・分子生物学的な影響を評価していく。

　化粧品の製剤技術をもつ同社と金城氏、尾形准教授の3者の連携により、化粧品成分がサンゴに与える影響を把握し、海への環境負荷が低い化粧品の開発と、SDGsへの貢献を目指す。