粧業日報 2024年4月30日号 2ページ
コーセーは、鮮やかな発色と透明性のある口紅を実現する分散技術「クリアカラーテクノロジー」を開発した。これにより、同じ色材の量でもより鮮やかな発色となり、その分ナチュラルで透けたような質感のある化粧膜が得られる。
この研究成果は、2024年7月に発売するスティック口紅「アディクション ザ リップバーム グロウティント」「アディクション ザ リップバーム ソフトマット」に応用される。
近年、口紅市場では健康的に唇を彩る血色感が重要視されている。特に自然な血色感には高いニーズがあり、これまでの口紅で重要であった発色の良さだけでなく、唇へのなじみも求められるようになってきた。
研究では化粧膜の透明性に着目し、鮮やかな発色と透けるような質感が得られる方法を「彩度」(色の鮮やかさ)と「透明性」を焦点として探索した。その結果、色材の分散工程を根本的に見直すことで、少ない色材の量でも鮮やかに発色させることができ、色材の量を減らした分、透明性のある化粧膜をつくることができる分散技術「クリアカラーテクノロジー」の開発に成功した。
口紅に色を付与する色材は粉体であり、同じ色材量でも製品中での分散性(散らばり具合)が良い方が口紅として鮮やかに発色させることができる。そこで分散に用いる機器や工程を根本的に見直すことで分散性の向上を図った。
その結果、色材の分散性が飛躍的に向上し、マイクロスコープで口紅中の色材を観察したところ、従来の工程による口紅では少数ながら色材の塊が点在しているのに対し、開発した工程では色材は均一に細かく分散していることが確認できた。
開発した分散技術を用いて、作製した口紅(開発品)の「彩度」と「透明性」を検証した。まず、透明なガラス板の上に口紅で化粧膜を引き、それを従来の工程で作製した同じ色材量を含む口紅(従来品)と比較した。その結果、同じ色材量にも関わらず、開発品は従来品に比べて彩度が向上しており、より鮮やかな発色と透明性を両立することができた。
次に、彩度値を開発品に合わせるために色材を増やした従来品(色材増量)を作製し、開発品と比較した。その結果、従来品の彩度は高まったものの、透明性が低下し、やや色ぐすみが生じてしまった。このことから、単純に色材を増量するだけでは、この彩度と透明性は実現できないことがわかった。
こうして、自社独自の分散技術を発展させることにより、鮮やかな発色と透明性のある口紅を実現する「クリアカラーテクノロジー」の開発に成功した。
研究成果は、口紅の品質向上はもちろん、粉体を扱う他のメーク製品や日やけ止め製品などにも適用可能な汎用性の高い製造技術の進歩であり、他の製剤開発への応用が期待される。
この記事は粧業日報 2024年4月30日号 2ページ 掲載
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