コロナ禍の中、幹細胞培養液を
中心に拡大続けるメーカー
これまで、同社の原料を採用した企業がどのような拡大を続けたかを紹介する。
エステティックサロンなどプロユースの化粧品を「ディレイア」ブランドとして供給しているグラツィアは、15年よりアンチエイジングのヒト幹細胞培養液を採用している。
16年にはサロン用化粧品のベストアイテム賞、急成長を遂げた企業に贈られるベストオブカンパニー賞を受賞するなど、幹細胞培養液化粧品をプロの世界でメジャーに押し上げた立役者と言って良い。
さらに17年には百貨店に店舗をオープンし、サロン以外の顧客にもヒト幹細胞培養液の良さをアピールし、それをサロンの集客につなげるという新しい試みも始める。
そうした取り組みにより、現在同品は5000軒のサロンで導入されているという。
その快進撃は今に至るまで続く。いち早くエクソソームに着目したグラツィアは2020年10月、アンチエイジングと共同で「RemyEV」をさらに進化させビタミンCと組み合わせた「ハイブリッドエクソソーム+」を開発した。「ザ ステム セラム EXソーム」(写真)として製品化し、大阪のエステ関連展示会では過去最高の売り上げとなったという。
このように実績を積み重ねる中、「ディレイア」成功の最大の要因は、原料の良さを最大限に引き出すための浸透性を高める製品開発力と言っていいだろう。これにより多くの顧客はヒト幹細胞培養液の効果を実感しているという。
グラツィアはこのノウハウを生かし、現在では個別サロンオリジナルのPBのOEM製造なども手がけ、ヒト幹細胞培養液のパイオニアとなっている。
一方、美容室ではスカルプケアとしてヒト幹細胞培養液が注目されている。その草分けが「アクティバート」(写真)というブランドだ。2020年はコロナ禍で理美容も大きな打撃を被ったが、そんな中でも「アクティバート」は安定成長を続けている。
同ブランドは、美容室に来店するクライアントの悩みの中で、頭皮や毛髪に関わるものが増加していることに着目したという。
それを契機にヒト幹細胞培養液の頭皮改善について訴求を行うと、これまでのエステサロンとの取引増加もさることながら、美容室からの引き合いが急増し現在では美容室チャネルを主要マーケットに設定。結果として、18年は前年比200%、19年は150%の急成長を遂げている。
この成功は美容室に美容以外の概念を持ち込んだことだという。
つまり、クリニックに相談されることが多かった頭皮や毛髪のトラブルを、「アクティバート」というヒト幹細胞培養液を用いたアイテムによって、髪の毛のスペシャリストである美容師でも対応できるという認識を定着させたのだ。
頭皮や毛髪の健康を取り戻すことで、美容室本来の美容やデザインの幅を広げることができ、美容室の活気につなげることができたのだという。
エステティック業界も美容業界もその後多くの幹細胞培養液化粧品が上梓されたが、パイオニアブランドの「ディレイア」と「アクティバート」は今も強い存在感を放っている。