最重要課題は「営業力強化」、営業トップとしてまず全国の状況把握を
Paltacは、2010年6月24日開催の定時株主総会ならびに取締役会で、三木田國夫社長が会長兼最高経営責任者(CEO)に、折目光司副社長兼横浜支社長が社長兼営業統括本部長にそれぞれ選任され就任した。また昨年秋から今年春にかけての異動で全支社長が入れ替わるなど大幅な若返り人事を断行している。
12年間に渡る三木田体制を経て、RDCの全国ネットワークは、来春稼動する新「RDC横浜」(神奈川県座間市)で一応完了する。三木田会長、折目社長の新体制でPaltacはどのような方向をめざすのか、折目新社長にインタビューした。(聞き手・加藤英夫本紙主幹)
店頭起点、生活者起点の取り組みで全体の売上・利益を最大化
――今回、 大変な重責を担われることになったわけですが、 改めて新社長としての決意、 抱負をお聞かせ下さい。
折目 当社は創業110年を超える長い歴史を持っていますが、これまで一貫して堅実経営に徹してきました。またオーナーがいないオープンな経営であることも大きな特徴です。平成10年以降、30社を超える企業を統合して成長してきた最大の要因は、「チーム」や「和」を尊重する社風を大切にしてきたからです。こうした当社のよさは今後ももちろん踏襲していきます。
一方、環境変化に、いち早くスピードを持って対応することも大切です。卸売業は、 変化対応業であり続けねばなりません。
その際に一番大切なことは、あくまで店頭起点、お客さま起点の取り組みにより、メーカー様、小売業様の売上、利益に貢献していくことです。
帳合をお預かりしている部分はもちろんですが、それ以外についても、カテゴリー全体の効率を上げる取り組みを提案していかねばなりません。私は12年間、横浜支社で務めてきましたが、自分たちの売上、利益だけではなく、全体の売上、利益を上げるためにはどうするかといった提案に徹底して取り組んできました。
PBについても同様です。PB以上の利益が出せるNBを提案できれば、問題解決につながり、小売業様にも喜んでいただけるのです。
――三木田会長、折目社長それぞれの役割分担はどのようにされるのですか。
折目 大きく全体の舵取りは三木田会長が担っていただきます。私は前述のように横浜支社長の経験が長く、他の地区の状況がまだまだ不勉強ですので、営業統括本部長として、まず全国の営業状況を把握することから取り組んでいます。
私は三木田会長より13歳下の54歳です。また昨年秋から今年春にかけて全ての支社長が入れ替わりました。これにより当社全体の年代はかなり若くなりました。
私自身として最も重要だと考えるのは、「営業力の強化」です。まず営業統括本部長としてこの課題に徹底して取り組み、少しずつ経営全体の課題に入っていくつもりです。
――2010年3月に東証一部、大証一部に上場され、長期ビジョンとして「売上高1兆円、経常利益200億円」の実現をめざしています。今期から3カ年の中期計画も策定されました。
折目 こうした中長期計画は、三木田会長が社長時代から進めてきたものです。私としてはそれを踏襲し、現場の中で全社一丸となってそれを具現化していかねばなりません。
システム・物流を融合する過程で経営トップとしての資質高める
――折目社長の入社は平成10年(1998年)10月、横浜の卸3社がPaltacと経営統合したことが契機でしたね。
折目 そうです。「ドメス」「スミック」「折目」の3社がPaltacと経営統合したのです。その前年の6月、父に代わり私が「折目」の社長に就任して1年余り、42歳のときです。当時Paltacの売上は2000億円を超えていましたが、横浜の卸3社の売上を合わせても300億円に届きませんでした。
当時は小売業界が大きく変化し続けている時期でした。「早く大きなところと一緒にならないと生き残ってはいけない」という危機感を3社共通に持っていました。
事実、Paltacと一緒になったことで、地域の小売業様には大変喜んでいただきました。今回図らずも社長として仕事をさせていただくことになり、身に余る光栄です。支配人のつもりで社員とのコミュニケーションを図り、「明るく、楽しく、いきいきと」働ける職場の環境づくりを進めていきます。
――横浜支社長時代が長かったわけですが、 どのような点に配慮されていたのですか。
折目 三木田社長時代の12年間で当社は、30社を超える企業との合併を繰り返して今日まで来ました。この間、文化も歴史も違う企業から、様々な方々が入社しました。
しかしPaltacの特徴は、システム、物流を統一していくことにあります。この面で融合を図れたことが私にとって一番の勉強になりました。
横浜支社長時代も、当社の原点である「店頭起点」「お客さま第一主義」を常に念頭に置いて、メーカー様、小売業様と共に業界の発展のために頑張ってきました。
――三木田社長時代に、RDCの全国ネットワークはほぼ完成に近いまでに整備が進みました。
折目 RDCを軸とする全国物流ネットワークは、非常にローコストでシステマティックにオペレーションできる当社にとって最大の武器であることは間違いありません。
しかし一番大切なことは、お得意先様が困っているときに、売上、利益を高めるために我々がどのようにサポートできるかです。言い換えるならば、RDCなど最新鋭の武器を使いこなす営業力をさらに強化することです。いまお預かりしているメーカー様の帳合はもちろん、その他のいろいろな商品を、店頭で売れるように提案できる営業力の強化が一番大切です。
――小売業にとって非常に厳しい状況が続いているだけに、期待以上のものが提供されれば、お互いの信頼関係はさらに深まるでしょうね。
折目 その通りです。信頼関係にはもちろん、人間関係も大切ですが、こうした厳しい時代だからこそ、小売業様が一番困っていることに我々が対応でき、お互いでよい数字が出せるようになれば、信頼関係はより深まるでしょう。リテイルソリューションと言いますが、要は「真の問題解決を確実に、きちっと遂行していくこと」です。
――企業は人材が最も重要な財産とも言われます。営業最前線で働く社員の方々に、会長、社長の考え方を浸透させることも大切なのではありませんか。
折目 三木田会長は社長時代の12年間で売上を3.5倍にしました。今後も当社はさらなるチャレンジを続けていきます。そのために一番大切なものはやはり「人」です。私自身、社長に就任してまだ日が浅いのですが、できる限りお得意先様や各支社を訪問しています。営業最前線の人たちとは年代的に近いこともあり、忌憚なくいろいろと問題を提起してもらい、スピードを持って問題解決に当たるようにしています。
物流の整備と営業力の強化によりヘルスケア事業を積極拡大
――新「RDC横浜」がいよいよ稼動しますが。
折目 新「RDC横浜」の基礎工事はほとんど終わり、今年12月には完成する予定です。本格稼動は来年2月中旬を予定しています。
この新「RDC横浜」の稼動により、「RDC横浜」「海老名センター」2カ所に分かれていたセンター機能を統合します。出荷能力も年間1000億円と、当社でも最大級のRDCとなります。これによりお得意先様の効率改善に大きく貢献すると自負しています。
この新「RDC横浜」の開設は、三木田会長の社長時代からの懸案事項でした。しかし2000坪、3000坪の土地であればそれほど難しくないのですが、1万坪を超えるとなるとなかなか手当てすることは難しいのが実情でした。
ようやく「日産自動車旧座間工場」の跡地を手当てすることができました。偶然ですが「あらた横浜支店」がある「プロロジパーク座間Ⅰ」のすぐ隣です。お互いよい意味で切磋琢磨して、業界の発展のために貢献していきたいと考えています。
――前期は「RDC北海道」(北海道北広島市)、「RDC東北」(岩手県花巻市)を開設し、今期は新「RDC横浜」と大型投資が続きますね。
折目 いずれも三木田会長が、中長期レンジで構想してきたものです。ヘルスケアの統合も、そうした構想の中から生まれました。なお当社のビジネスの99%は卸売事業ですが、残る1%は物流受託事業(SCL事業)です。大阪府高槻市にSCL事業の新センターを開設する計画ですが、今後もこのSCL事業も並行して強化していきます。
――新「RDC横浜」で、RDCの全国ネットワークは一応完成するのですか。
折目 そうです。今後はネットワークのマイナー整備が中心になります。例えば沖縄地区にも物流センターを開設する計画で、すでに地鎮祭を終え、着工しました。これからは前述のようにこうしたRDCネットワークを最大限活用した営業力を強化していくことです。
例えば昨年の薬事法の改正で、第2類、第3類の医薬品が登録販売者でも販売できるようになりました。これにより業態の垣根を超えた新たな競争が生まれており、新業態の開発も相次いでいます。 スイッチOTC市場の将来性も期待されています。確かにヘルスケア業界はこれまで非常に厳しい状況が続いていましたが、魅力ある市場であることは間違いありません。
ヘルスケア事業の物流体制が三木田社長時代に整備されましたので今後はそれを踏まえて、ヘルスケアの営業力をさらに強化し、ヘルスケア事業を積極的に拡大していきます。
この記事は週刊粧業 掲載
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