ここにきて訪問販売の市場が持ち直しの動きを見せている。在宅率の低下など社会情勢の変化を受けて長く低迷していたが、日本訪問販売協会や矢野経済研究所の調査でプラス基調に転じていることが浮かび上がった。
週刊粧業は市場の低迷ぶりとは裏腹に各社が業績を伸ばす姿を再三伝えてきたが、これが市場全体の傾向に表れてきている。これこそが、逆境を跳ね返す企業努力の賜物だ。
上期は堅調ぶり目立つ販売員教育も多彩
その最大の要因の1つが、積極的なサロン展開にある。新たな顧客接点の場としてリアルな拠点を設ける動きが目立っており、これを業績拡大につなげているケースが少なくない。
最大手のポーラは、その筆頭格だ。「ポーラ ザ ビューティ(PB)」は今年上半期(1~6月)の売上高を前年同期比9.9%増へと伸ばし、売上構成比も初めて4割を突破したという。同期間における全体の売上高も、前年に消費増税後の駆け込み需要があった中で増収増益を確保した。
大手の一角である日本メナード化粧品も、「メナード フェイシャルサロン」を全国2700店規模へと増やしており、これを含めた取り組みで「成果は着実に表れており、新たな成長段階へ入ってきている」と手応えをつかんでいる。
関西勢ではナリス化粧品が活動拠点「デ・アイム」を約320店へと広げ、今年度上期(4~9月)は前年超えの実績で着地した。
シャンソン化粧品も同様に、今年の注力テーマに「サロンの質の向上」を掲げ、販売員の接客スキルを高めようと試みている。直近の売上高も5月以降は回復し、順調に伸ばしているようだ。
このほかでも、マリアンボレが中国など海外事業の持ち直しを契機に、4~9月の売上高を前年比プラスへと盛り返した。
今後の業績予想も明るい見通しが目立つ。
ポーラは通期売上高を前期比3%増、営業利益も15~20%伸ばす計画だ。
中堅勢でも、ヤクルト本社が大型スキンケアシリーズの刷新を機に、当初予想していた通期売上高の上ブレを狙っているほか、ネットワークビジネスのペレ・グレイスも今期は40億円超えを目標に掲げている。
一方、訪問販売では販売員の存在が業績拡大には欠かせない重要な役割を果たしている。メーカー各社は、高齢化が進む中でその若返りや、接客力を向上させる取り組みを加速させている。
これについても、ポーラが順調に成果を上げており、現在、販売員の約6割を20~40代が占めているという。
若手の育成にはノエビアも熱心で、研究員による研修を全国各地で開催し、若いスタッフを中心に2000人を超える動員を記録したという。
さらに、オッペン化粧品も東京支店を教育やセミナーの場として有効活用している一方、日本メナード化粧品は教育現場でタブレット端末を積極的に活用している。