エスキュー、オルビス初の肌診断機の開発を支援

週刊粧業 2019年1月1日号 93ページ

2019年1月7日 10時00分

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 肌測定&分析ソリューション「お肌の偏差値SQシステム」を提供するエスキューでは、同システムがオルビス初の肌診断サービス「パーソナルスキンチェック」の基盤として採用された。

 水分、油分、キメ、くすみ、ハリの測定結果を偏差値化し、同年代における自分の肌状態のレベルを知ることができる。

 エスキューの松下幸夫代表とオルビスの井口悦雄ICT戦略部ICT戦略グループグループマネジャーにプロジェクトの軌跡と展望を伺った。

診断機は迎客への重要ツール
新アプリのメインコンテンツに

 ――肌診断機の開発にあたっては両者の協働作業が多くなりますね。

 松下 私はこれまで、販売員による触診と診断機で全く違う結果が出る機器だと、落とし込みに苦労するのをたくさん見てきました。そこで販売の最前線に立つ人の感覚に寄り添った結果が出る機器の開発やサービスに1番注力しまし
た。

 井口 同じ肌診断システムでも各社によってそれぞれ性質は異なると思います。アプリケーションとハードの作り込みが全然違う。当社はハードからつくるのは初の試みで、どのように進めればよいのか、必要なリソースも含めてわかりませんでした。エスキューさんは必要とする科学的エビデンスが当社の美容理論とどこまで整合性がとれるのか、検証してくれました。

 松下さんは日本システム研究所の代表でもあり、研究面で妥協をせずに要望に応えてくれたので、信頼感がありました。彼の人柄に惹かれことも大きい。

 実はパートナーベンダーを選定する際はフロントに立つシステムエンジニアの役割が大きく、いかにクライアントの要望をくみ取り、忖度して調整してくれるかでスムーズにサービスリリースできるかが決まることが多いからです。そのような意味ではとても感謝しています。仕事を進めやすく、要望についても前向きに受け止めてくれるので、とてもやりやすかったです。

 ――肌診断の導入背景をお聞かせください。

 井口 当社は2018年から事業革新の一環として店舗(リアル)とEC(デジタル)の融合によるオムニチャネル戦略を進めています。

 10月23日にエイジングケア「オルビスユー」をリニューアル発売しましたが、お客さまに科学的根拠を含めた商品のよさをお伝えしたかったので、通販のお客さまにも店頭に来てもらうためのコンテンツとして肌診断機が必要だと判断しました。新たにORBISアプリも作成しましたが、デジタルとリアル双方のお客さまを迎客するメインコンテンツとして肌診断結果機能を取り入れました。

 導入の背景には店舗とマーケティング戦略上のニーズが偶然一致したこともあります。店舗では肌診断機を求めていましたし、マーケティング側もアプリを加速させるために肌診断機能を入れたかった。リアルとデジタルの相関性も高め、もっとオルビス全体でお買い物を楽しんでもらいたいという狙いがありました。



データ分析で触診と測定値を調整
やわらかさの観点でハリ機能追加

 ――開発にあたって大変だったのはどの部分ですか。

 井口 オルビスにいる約800名のビューティーアドバイザーは、触診でお客さまの肌状態がわかります。客観的根拠は必要ですが、診断スコアと今まで培ってきた触診結果が乖離すると、現状実施できていた質の高い接客やご提案ができなくなります。そのため、チーフトレーナーとトレーナーの触診と測定データの乖離を調整していきました。

 松下 ハリの感性評価を「ハリがある」「ふつう」「そうでもない」の3段階に分類し、肌診断機による測定値と感性の乖離がどれくらいあるのか、ビューティーアドバイザーの方にも協力していただき、ひたすら触診と測定を繰り返しました。店頭で使いこなす人の感性に合わせてたくさんのデータを取らせてもらう場所や人材を用意していただき、短期間で次々にデータがとれたのは大いに助かりました。いい仕事をさせていただき、幸せです。

 井口 肌診断機の導入店は現在4店舗、2019年度上期までに50~60店舗まで増やす予定です。今は来年の本格導入に向けて、ビューティーアドバイザーが店頭でスムーズにお客様にアプローチできるように研修を進めています。

 実はエスキューさんの既製商品にハリの項目はありませんでした。科学的根拠がないと指標として持ちたくないということでしたが、エイジングケアを訴求した化粧品を提案するのにハリの数値はどうしても必要でした。そこで、松下さんに納得のいくハリの測定機能をつくって欲しいとお願いしました。

 松下 画面上のデザインはオルビスさんが設計し、当社はその裏側にある測定値から肌偏差値を算出するアルゴリズムの開発を支援する「業務支援」という形で仕事をお受けしました。

 弊社センサ最大の特長は、水分値が正確に測定できるという点です。肌の水分値は、センサを肌に強く押し当てれば値が高くなるという点に着目し、どの程度肌に押し当てているのか(押し込み量)がわかる機能を搭載しています。そのため、頬のように、外見だけでは「どれくらいの強さでセンサが肌に当たっているのか」がわからない部位でも、わかるようになっています。その結果、ビューティーアドバイザーの触診とのギャップがないように作り込むことができました。この点には非常にこだわりました。

 また、今回ハリの測定機能を盛り込むにあたり、1番肝心なのはハリの触診(感性評価)に合わせることです。押し込み量の数値からは色々なファクターが抽出されるので、測定データを分析して触診と測定の間のどこに関連性があるのか、見極める作業を続けていきました。

 実はあまり手入れをしていない男性の肌は堅くて押し返す力が強いので、ハリの値は高くなります。しかし触ると堅くてがさがさしている。一方健康な肌は触ると「ぷるん」としています。

 「ぷるん」とした肌とは押し返す力が強いというイメージがありますが、押し返す力は堅くてかちかちの肌の方が強いので、この違いをどのように受け止めればよいのか、触診と肌診断機のハリ感は「ぷるん」と言う表現にすると相関性があるという仮説に基づき、被験者の肌を複数回継続的に測り、仮説通りの傾向が出ると確認しました。そこで、ハリに紐付くのは弾力ではなく、やわらかさという表現がふさわしいと提案したのです。

 井口 ちなみに、頬の肉が少ない、シャープな顔立ちの人はハリの数値がうまく測定できなくなってしまいますが、そのあたりは測定場所を考慮するなど、接客スキルとの合わせ技で対応しています。

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