資生堂 魚谷社長、ビューティーイノベーションの実現に向けて

週刊粧業 2020年1月13日号 6ページ

資生堂 魚谷社長、ビューティーイノベーションの実現に向けて
 昨年を振り返りますと、世界経済は貿易の鈍化や地政学的緊張などを背景に全体として不透明な状況が継続しました。日本経済もその影響を受け景況感は足踏み状態にあり、また、様々な災害が各地にもたらした被害の影響が残っています。

 一方で、令和という新しい時代の幕開けによって多くの方が未来への想いを馳せた、そんな一年だったと思います。

 資生堂は昨年、企業使命を「BEAUTY INNOVATIONS FOR A BETTER WORLD(ビューティーイノベーションでよりよい世界を)」と定めました。

 美の価値観が多様化するなか、今までにない新しい価値を生み出すために全社員が取り組んでいます。横浜に新設した研究所「資生堂グローバルイノベーションセンター」をはじめとして、世界中でイノベーションの種が育ってきています。

 また、拡大する需要に対応し、中長期的に安定した生産体制を確立するため、12月に「那須工場」を本格稼働し、本年2020年末には「大阪茨木工場」を稼働させる予定です。

 加えて、様々なお客さまのニーズに応えるため、M&Aを通じて米国の人気ブランド「トリー バーチ」「ドランクエレファント」を資生堂グループの一員として迎えました。

 今後も更なる長期的な成長に向けた積極的な投資に挑戦してまいります。
本年は、東京オリンピック・パラリンピックの開催により世界中の方が日本に注目する年となります。2025年には大阪・関西万博も控え、日本が未来に向けて躍動する姿を発信し続けることが重要です。

 当社にとっては「世界で勝てる日本発のグローバルビューティーカンパニー」となるための中長期戦略「VISION 2020」(2014₋2020)の最終年度にあたり、戦略の完遂を目指して全社一丸で取り組んでまいります。

 世界中のお客さまに向け、Made in Japanへの信頼や丁寧なカウンセリングなど、日本をオリジンとする当社の強みを更に活かすことにより、世界で愛されるブランドを育成したいと考えています。

 また、近年サステナビリティ経営の重要性が高まり、買い物や就職など様々な場面で企業を選ぶ際の基準の一つにされる人が増えてきています。

 女性活躍や環境問題など、当社事業と関連の深い社会価値の創造に取り組むことが企業の成長につながります。社会との信頼関係を強固とし、さらなる成長を実現していくための原動力は「人」です。

 今まで以上にワクワクするような働く環境づくりやダイバーシティー推進などを引き続き強化することで、資生堂グループで働く約4万6000名の社員一人ひとりの個の力を最大限に引き出し、ビューティーイノベーションを実現するように取り組んでまいります。

 不透明な市況はまだ続くとみていますが、長期的な視点でやるべきことにしっかりと取り組み、世界市場で日本企業の存在感を高めることに貢献していきます。
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