コーセー 小林一俊社長、今までにない行動改革・意識改革を

週刊粧業 2022年4月11日号 16ページ

コーセー 小林一俊社長、今までにない行動改革・意識改革を
【2022年入社式訓示】

 コロナ禍で世の中の進化が大きく加速し、第7波への兆候も見える中、「今こそ将来・未来を見据え、何をすべきか考え、一人ひとりの今までにない行動改革・意識改革が重要な局面である」とまずはお伝えします。

 当社の商品やブランドには、長年にわたり多くのお客さまに愛用いただいているロングセラーも多く、それは我々が時代を超えて通用する普遍的な価値が提供できている証でもあり、我々が目指す生涯にわたってお客さまに喜んで頂ける「顧客ロイヤリティの高さ」にも欠かせない要素でもあります。

 しかし「変えてはならない」は、「何もしなくて良い」ということではありません。なぜなら時代もお客さまも常に変化しており、単に「変わらないまま」でいるだけでは、それらの変化についていくことができず、結果として「お客さまから選ばれる存在」にはなり得ないからです。

 逆に言えば、時代やお客さまの変化に合わせて、常に自らも変わり続けていることこそが「時代を超えて選ばれ続ける存在」であるために絶対に必要なことであります。

 新入社員の皆さんには、当社が今まで大事にしてきたことや、ロングセラーや定番商品を大切にすることを「高く評価されているから、このまま変えなくても良い」と誤解せず、むしろ「評価され続けるには、変わり続けなければならない」ということを肝に銘じ、皆さんの感性で「変えなくて良いのか」「変えなければならない点はないか」という視点や問題意識、そして危機感を持ち続けてください。

 コロナによって世の中の変化が加速し、遠い将来が早く近づいてきたとポジティブに捉え、我々は未来に向けた準備をすべきであり、新たなチャレンジを行うチャンスです。当社においてもDXプロジェクト、特にECプラットフォームは今まで以上に加速させていかなければならないと考えています。

 その上で一番大事なことは、データは共有してこそ価値があるということです。皆さんには色々なデータやエビデンスに敏感になっていただき、デジタルを活用した新たな提案・チャレンジを期待してます。

 これまでは、「高い品質の化粧品を、店頭でのカウンセリング販売を通じて販売すること」が我々にとっての価値提供の中心でしたが、これからは、よりアダプタブルで、サステナブルな商品・サービスを、デジタル体験を通じてよりグローバルな拠点で、パーソナライズされた個々のお客さまへ届けるということが求められています。これが、今我々が変えていかなければならない価値提供だと考えています。決してオフラインのカウンセリング販売、リアルでのタッチアップや接客はなくなるものではなく、これからは融合していくことが重要です。

 私は、厳しい制約がある時こそ本物が生き残る、つまり、本当に必要とされる企業が残っていくと思っています。これまでもピンチをチャンスに変えてきた経験を活かし、アフターコロナで必ず必要なメーカーとなり、必要な商品・サービスを提供できる会社になっていかなければなりません。

 このコロナによって将来への躍進のチャンスが前倒しで来たと思っています。何事にもポジティブに捉え、エビデンスや根拠を持って前向きな発想と発言ができる人になってください。

 皆さん自身の強みを生かした活躍を大いに期待しています。
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