アンズコーポレーションのODM事業部は、「LTV型ODM」を打ち出し、スキンケア製品の付加価値化を推進することで、リピート受注を増やしている。
LTV型ODMのビジネススキームの構築について、山田昌良社長は「来年には新たなサービスをスタートできる見通しも立ってきた。機能性を軸にした製品開発をさらに進化させ、消費者のスキンケアに対する期待値に応えられる製品づくりを推進していく」と話している。
――ODM事業がコロナ禍も好調に推移しています。好調の要因をどう捉えていますか。
山田 ODM以外の事業に取り組んでいることが、結果的にODM事業を強化することになっている。
ここは賛否が分かれるところかもしれないが、当社にとっては自社ブランドの保有がODM戦略を推進する上でプラスに働いている。むしろ自社ブランドがあることでLTV型ODMのスキームを構築することができたと言ってもいい。
――事業間でどのようなシナジーが起きているのでしょうか。
山田 自社ブランドとODMの2軸で機能性訴求の製品開発を進めるため、知見やノウハウの積み上げで、技術開発力の向上が図れる点が大きい。新たな評価系を構築しながら、機能性訴求の製品開発も進めている。
そのような開発製品が増えることにより、顧客に対しても自信を持って提案できるようになっている。結果的に研究開発や営業の人材育成にもつながっている。
――機能性を中心としたODMスキームの構築に向けてR&D部門への投資も継続的に進めています。進捗状況は。
山田 独自の3D皮膚モデルを用いた実効性評価試験を行える体制づくりは、サービスを提供できる環境がようやく整いつつある。
品質や機能性を可視化させる新たなサービスとして、来年中のスタートを目指している。スタート後は、協業や連携も視野に入れながら、日本だけでなく、グローバルでも通用するサービスへと発展させていきたい。
――今回のテーマである「競争力強化」のポイントを挙げてください。
山田 近年のスキンケア市場は、価格の二極化で中価格帯の市場が低迷している。ヒット商品に追随する形で早期にコモディティ化が起きていることも要因だが、一方で、高級化粧品の人気は根強い。
消費者が中価格帯から低価格帯の商品へ移行する理由には、少なからず期待感とのギャップによる不満やスキンケアに対する諦めといった心理的側面も影響していると考えられる。
――その中価格帯にはファブレス企業のブランドも多く存在しますね。
山田 事実、中価格帯スキンケア市場は異業種やスタートアップ企業の参入が多く、私たちOEM/ODM企業が開発・製造を担っている領域だと捉えている。
消費者のスキンケアに対する期待値・満足感を上げていく。自社ブランドもODMも同じ想いを持って、技術力を高めながら成長し続ける企業を目指していく。