【週刊粧業2019年10月28日号12面にて掲載】
最近、サステナビリティ(持続可能性)という言葉を目にしない日はないですよね。レジ袋廃止やファッションブランドのショッパーの紙化など、生活で実感することも多いのではないでしょうか。
日本では「エコバッグでちょっと良いことした気分」という意識ですが、一方でNYでは「ビニールの袋を持っているとむしろ恥ずかしい」と、欧米と日本では温度差がある、と言われます。
先日、友人と「スムージーを飲んだら紙ストローがふやけてしまった」という話題になったのですが、あらゆる消費財メーカー担当者がサステナビリティの流れによって、品質とコストと管理に関する新たな問題に頭を悩ませているのだろうと切実な気持ちなりました。
とはいえ、「サステナビリティ」という言葉は急速に浸透しています。AKB48の新曲のタイトルも「サステナブル」で、「振られちゃったけど彼女のことをずっと想ってるよ」というような歌詞です。なるほど、地球規模ではなく自分規模の持続可能性という訳です。
そう考えてみると、ここ数年女性誌で増えてきた「100歳」というキーワードがまさにサステナブル発想です。直近の見出しをピックアップしてみると、「健康な100歳は、前向きで自立しワクワクしながら生きていた 人生100年『センテナリアン』になるために今からできること(美ST 10月号)」「“100歳佳人”のつくり方(婦人画報 10月号)」「人生100年時代のしなやかな生き方。(クロワッサン 8/25号)」などなど。「センテナリアン」だなんて美STらしいおしゃれな響きですね。
以前であれば「100歳」をテーマにしたコンテンツでは、元気に長生きしているお年寄りは特別な人という扱いでした。しかし、今はそこがガラッと変わり、100歳の女性は40・50・60代を生きている女性と地続きのリアルな存在なのです。
全国の100歳以上の人口は、平成の30年間で23倍(平成元年約3000人→令和元年約7万人。ちなみに、100歳以上人口の88%は女性)にも増えています。平均寿命は男女それぞれ約5歳伸びて、男性が76→81歳、女性が82→87歳になっていて、来年には日本の女性の2人に1人が50歳以上になります。
お金も美も健康も、長ければ長いほど問題も出てきます。
「『生き長らえ方』ではなく本当の意味での『生き方』が知りたい」「『おばあさん』ではなく『素敵な人』として年齢を重ねていきたい」という欲求が高まるのは自然の流れでしょう。
今まで絶対にあり得なかった「100歳」という「生き方」のサステナビリティについて皆様も改めて考えてみてはいかがでしょうか。