【週刊粧業2020年10月26日号10面にて掲載】

 「目力」という言葉が今年の秋から本格的に復活しています。以下のように、あらゆるターゲットのメディアで頻出しています。

 「濃くないのに盛れて、変わる。新時代の目力メイク!(non₋no10月号)」「肌と目ヂカラで作る 秋美人レッスン(VoCE10月号)」「目力が宿る洒落見えアイメイク(&ROSY10月号)」「アラフォーのための「目ヂカラ」UP講座(Marisol10月号)」などです。

 実は近年、「目力」という言葉は下火傾向にありました。コロナ禍以前に登場したのは『美ST』の4月号ですが、その前は昨年9月の『CLASSY.』まで遡らないと出てきません。

 マスク時代のメークは、目から上がすべてです。アイメークの比重が高くなる昨今、「目力」が使いやすい言葉になっているのは当たり前です。しかし、以前とは内容が違うということに注意しなければなりません。

 これまでの目力では、くっきりアイライナーやグラデーションアイシャドーにバサバサまつげのデカ目至上主義でしたが、今それをやってしまうと古く見えてしまいます。

 今求められているのは、チークやリップの赤みが効かない分、目もとにも赤みを補うといった、盛らない手法です。

 ネットに軸足を移すと、さらに本気の目力が求められるようになります。

 「BuzzFeed Kawaii」をみると、「下まぶたって実は、印象を変えるのにとっても重要なんです いろんな下まぶたメイクのコツをまとめました(9/13)」「涙袋メイクに超使えると話題! マジョマジョ人気アイライナーの新色をスウォッチ付きで紹介します 他にも涙袋メイクにおすすめのコスメを厳選しました(9/14)」「アイメイクを極めたコスメオタクな中の人が厳選 ぷっくり涙袋を作れるコスメを、ブルベ・イエベでそれぞれまとめました!(9/28)」など、若いコスメオタクの目力の鍵は「下まぶた」であることが見えてきます。

 YouTubeやTikTokのビフォーアフターメーク動画を見ると、別のニーズが見えてきます。

 リアルメイクを加工アプリのような仕上がりに近づけるべく、「目頭切開したみたいなアイライン」「ナメクジのような涙袋をつくるアイメイク」「眉と目の間隔を狭く見せるための並行眉」などの技巧を凝らした整形メイク技術が開発されているのです。

 このように「目力」という言葉1つをとっても、ターゲットのニーズは年齢や接するメディアなどによって変わります。その違いを見極めた上でマーケティングするということを是非心がけてください。
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廣瀬知砂子

女性潮流研究所 所長 / 商品企画コンサルタント

実践をモットーとする化粧品コンサルタント 現場発想で生み出した独自の商品企画法やトレンド分析法で、大企業から中小企業まで多くのヒット商品を手がけている。

http://www.beautybrain.co.jp/

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