【週刊粧業2021年3月29日号12面にて掲載】
化粧品の大きなトレンドが生まれにくいご時世ですが、ちょっとずつ変化しているようです。今回は、女性潮流研究所の女性誌の定点観測で、これはちょっと今までとは違う動きだなと思った現象をいくつか紹介します。
メーク関連で気になったのが「最新の『似合うブラウン』を、自分のトーンに合わせて選んでみよう! イエベなら? ブルベなら? 2021春メイクは目元のブラウンをアップデートしよう(Oggi4月号)」「田中みな実×人気ヘアメイク豪華共演 ネオブラウンメイク(VoCE4月号)」です。
春なのにブラウンメークが大々的に特集されるのは珍しいことです。企画現場では「春だからパステル系、秋だからブラウン系」というルールにとらわれがちですが、リアルなメークトレンドはこのような感覚は薄れています。
固定概念にとらわれると古いブランドになってしまうでしょう。
2つ目に気になったのはアンチエイジングです。「細くなった毛、細かったカラダよ再び! 100日~2年“育てる系美容”で『あの頃に戻れる?』大調査(美ST4月号)」「逆立ち・舌回し・頭皮もみ お金をかけずに綺麗になる おこもり時代も『0円美容』ライター対抗85日間耐久レース(美ST4月号)」の見出しは新鮮でした。
Webやテレビの広告では、「翌日ふっくら」「一晩若返ったみたい」など、即効性を訴求するものが多いため、85日・100日・2年などの長期視点は思い切った発想です。
購買を煽るような過激な効果訴求の嘘に対して、消費者は辟易しはじめています。そんな今だからこそ、中長期的なスパンの提案は嘘のないリアルなものに見えます。
最後に、ダイバーシティ&インクルージョンの提案が増加している点です。
「あなたはあなたのままでいい もっと愛そう、自分のコト(Sweet3月号)」「ゆりやんレトリィバァ×イガリシノブpresents “私っぽい”メイク、始めよう(with4月号)」など、「自分らしさ」にフォーカスした企画が多くなっています。
これはビューティー関連の特集に限りません。ここ1年で「可愛い」「トレンド」などの文字は見出しから減っています。
「女性だから可愛いものが好き」「トレンドを取り入れることがおしゃれ」という今まで通りの考えだけでコミュニケーションをすると古く見えてしまうので注意が必要です。
ビューティービジネスに関わる人は、「常識のアップデートができているかどうか」をこの機会に是非見直してみてください。