【週刊粧業2021年6月14日号9面にて掲載】
去年はJohnson&Johnsonが「ホワイトニング」の表記を取りやめるというニュースが駆け巡り、今年は花王が今後は「美白」の表現を使わないことを発表しました。そういった中で、世の中の美白表現はどのようになったのでしょうか。
4月に発売された雑誌では、「熱血! 美白ブートキャンプ(VoCE 6月号)」「2021年最新美白キーワード(MAQUIA 6月号)」「ビューティ特集隠れているから大丈夫…なわけなくない?マスク時代の『美白』の作法(CLASSY.6月号)」「UVケア&美白の話(mini 6月号)」など、概念としての「美白」は消えていませんでした。
メーカー各社から発売される美白新製品はどうだったでしょうか。ここ数年続く傾向ですが、「白くなる」というダイレクトな訴求そのものは少なくなっています。
代わりに、肌全体のコンディションを上げたり、アンチエイジングの要素が加えられていたり、さらには血色の良さや、それを透けさせることのできる透明感・潤いにフォーカスする商品が増加しています。
美白というワードの代わりに、「透明感」という表現が便利に使われるようになりましたが、実は透明感という言葉の使われ方も変わってきています。
3年前の2018年における、透明感という表現を含む見出しは以下の通りです。「今年の春こそ『透明感肌』を手に入れる!(non₋no5月号)」「スキンケアで、メイクで。これぞ美人オーラの秘密! 今っぽ『透明感』のつくりかた!(ViVi5月号)」「美肌は白さだけじゃない、透明感がなくちゃダメなんだ!(MORE5月号)」「イガリシノブさんに聞く、#お金で買える透明感、ください!(with5月号)」など、透明感は「手に入れる」「作る」ものだと表現されています。
最新の2021年の見出しと比較してみましょう。「透明感爆アゲ← 美肌すごろく(non₋no6月号)」「田中みな実の『透明感ましまし』計画(VoCE6月号)」「季節のくすみを払拭して晴れやかな肌に! 透明感を引き出すためのヒント集(リンネル6月号)」など、「上げる」「増す」「引き出す」といった表現が多く使われています。
3年前の透明感は、「理想像に近づくために新たに作るもの」でしたが、今は、「誰もが元々持っている透明感を伸ばしてあげましょう」といったように、個性を尊重するニュアンスに変化しています。
深読みかもしれませんが、いずれにしても表現に配慮が必要な時代であることは間違いありません。