【週刊粧業2021年11月15日号5面にて掲載】
香り市場に変化が起きています。2010年代初頭までは、モテ香水のような「他人にどう思われたいか?」という選び方が流行していましたが、今は自分らしさを重要視する女性が増えているようです。そしてこの秋には新たな動きがありました。
ジョー マローン ロンドンの「オレンジ ビター カ― ディフューザー」(5060円、11月19日限定発売)は、クリスマスに帰省するときの車の中で香らせてほしいという、ホリデイの限定品ならではの温かみのあるビターオレンジの香りが特徴です。
カーフレグランスは、まだまだ開拓されていない市場ですが、ジョーマローンらしいストーリーが素敵だと感じました。
午前2時のフレグランスというコンセプトのフレグランスを打ち出したのはアユーラの「メディテーションナイトトワレ」(20 mL・4400円、11月1日発売)です。
マスク着用、リモートワークなどといった新しい生活様式によるストレスを癒す、穏やかな夜のために、数十年間のロングセラーである人気入浴料「メディテーションバス」の香りを基調としながら、気持ちを穏やかに整えるビターオレンジやサンダルウッドなどをブレンドして心安らぐ午前2時を演出しています。
熟睡しているべき時間帯の午前2時に効果を実感してもらうという提案が非常にユニークです。
ACROは3つの香りのルームスプレーが入ったホリデーキットを発売しました。「THREE ホームフレグランス オプティマイズド キット」(7480円、10月20日限定発売)です。エントランスや人の集まる場所、ワーキングスペース、寝室それぞれに向けたルームスプレーが3本セットになっています。
空間の香りで気分を変えるというのは、誰もが感じているコロナストレスにフォーカスしていてタイムリーでした。
ルームフレグランスなどのリビング系アイテムが充実しているSHIROも「ファブリックソフナー」(500mL・2750円、10月7日限定発売)を発売するなど、コスメティックブランドの空間フレグランスへの参入が目立った年でした。
さらには嗅覚だけではなく、聴覚でシーンを演出しようという動きもあります。
エキップの「アスレティア セッションホリデーキット」(1万2650円、10月29日限定発売)は、ボディクリーム、ハンドクリーム、アロマオイルにオリジナル音楽二次元コードをセットにした、スペシャルな限定キットです。
「シーン演出」という新たなカテゴリーは、化粧品業界において要注目といえるでしょう。