【週刊粧業2024年6月3日号19面にて掲載】
限られたコミュニティーの中の鍵アカウントで公開設定になっていないので、大人の目には全く入ってこないのですが、Z世代の行動観察をしていると、InstagramのストーリーやTikTokの動画、一定時間だけ投稿を共有するSnapchat、加工なしのリアルな瞬間を共有するBeRealなどで自撮りを頻繁に友達と送り合っていることに驚きます。一時期流行した加工バリバリのインスタ映え顔ではなく、加工無しの他撮りが偉いとされる現代はますますメイクが重要になります。
自分に「盛り耐性」がどれだけあるかどうかも大切なポイントです。盛り耐性とは、メイクやヘアスタイルなどでビフォーアフターを大きく変えることができる度合いのことを指します。目の大きさ、形、二重幅の広さ、出目か奥目か、額、鼻、あごの形、髪や眉毛の質感、パーソナルカラーなどの要素によって決まります。
そんな中で化粧品はますます崩れないことが求められます。最近はSNSに「飲み会〇〇」という盛り耐性を維持する表現が増えてきました。例えば、以下のような投稿があります。
「飲み会中の化粧直しはみんなと始まるなぁ! 2420円のipsaのミスト、これまで使わなかったことを後悔している…… お酒飲むと赤みと毛穴の開きが凄くて化粧直しに長時間かかってたんだけど(略)」(@yuyudayo0924)
「色々な『飲み会ティント』がバズってるからお酒好きとして試しに試した結果この4つが本物の飲み会ティントでした(略)」(@mochi\_\_cosme)
飲み会ティントの大元をたどると、2023年10月にこちらの投稿が見つかります。
「“飲み会リップ”って友達が命名してたBBIAのティント買ってみたんだけど、凄すぎた……!! 透明感×ちゅるんと自然なツヤ感。なのに、どんだけ飲んでも色落ちしにくいの♥ 落ちにくいのって唇荒れがちだけど、これは1日中ぷるっぷるで◎ そしてテクスチャー軽めだから鏡見ずともノールックで塗れて楽々」(@anir\_diary\_)
この投稿がきっかけで、韓国コスメBBIAのティントのニックネームがそのまま「飲み会ティント」になって大ヒットしています。2018年のコロナ前から「飲み会用のティント」というのは自然発生的につぶやかれているのですが、商品名と強力に結びついたことで1つの一大カテゴリーになりました。
化粧品は夢を売るものという先入観があるので、「飲み会」という泥臭くて飾らないワードは企業からはなかなか出にくいです。思わぬヒットの種は固定観念を打ち破ることから見つかるのかもしれません。
廣瀬知砂子
女性潮流研究所 所長 / 商品企画コンサルタント
実践をモットーとする化粧品コンサルタント 現場発想で生み出した独自の商品企画法やトレンド分析法で、大企業から中小企業まで多くのヒット商品を手がけている。
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