日本はいよいよ、老齢化社会に突入しました。第一次ベビーブームから団塊の世代へ。団塊の老齢化によって、急激に老齢者が増えています。
私は常々、人間の長生きを、4つに分けてはと言って参りました。内臓が健康な『生理的長生き』、健常である『機能的長生き』、頭脳の明晰な『知能的長生き』、そして見た上の『美的な長生き』です。
高齢化と共に心肺機能の老化、運動機能の老化は20~30代をピークに下がる一方のようです。しかし、知能的な老齢化(日常問題の解決能力とか言語能力)は、その学び方によっては70代までも伸び続けるということを、知る機会がありました。
しかし、短期間の記憶能力は40~50代をピークに、70代に向け急激に劣化降下し、「あの、その、あれ」「誰だっけ」「(浪花節ではありませんが)何が何して何とやら」という発言が多くなるのは、否めないようであります。
企業にとっての老齢化を考えたとき、何年を、企業老齢化と考えるかはともかくも、就業者の高齢化とともに、記憶能力の老齢化を無視することは、出来ないのではないでしょうか。
国としても、老人の就業問題の対策として、年金問題も含め、日常の問題解決能力、言語能力を活かし、70代まで就労期間を延ばし、記憶能力の劣化を補うものとして、コンピューター社会に突入した今、それを活かせることだと思います。
逆説的になるかもしれませんが、若者は若い頃からコンピューターはなるべく使わず、自らの頭でものを考え、記憶し、判断する。コンピューターは若者向けではなく、老人向けと考える。そのことにより、老齢化しても、人も企業もその活動をしえる社会が出来るのではないか、そんな考えは出来ないでしょうか。
当社も創業55周年を迎え、やがて企業還暦60年を迎えるにあたり、人間寿命の120余にあてるならば、ちょうど折り返し地点と考えています。
かつて今日を予期したわけではありませんが、幸い商標登録をした『リターン六十』にちなむ、商品の開発と共に、折り返し地点六十としての、企業体質を整えていきたいと思っております。
老人問題を、大きな否定的社会問題として捉えずに、『若楽 老憂』ではなく『先憂 後楽』すなわち『若憂 老楽』の社会を目指すべきではないでしょうか。
この記事は週刊粧業 掲載
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