第1回 美しい感動と信頼の輪を世界に広げるアルビオンのCSR活動

第1回  美しい感動と信頼の輪を世界に広げるアルビオンのCSR活動

 アルビオンは1956年の創業以来、「高級化粧品の第一人者として、本物志向に徹し、美しい感動と信頼の輪を世界に広げる」という企業理念の実現に向け、CSR活動という言葉がない時代から、社員を育て、その社員を通じて安全と安心、新しい化粧品の楽しさや感動を伝えることに努めてきた。

 また、時代が移り変わりセルフ方式の販売が多くなった際も、「安全と安心を第一に直接商品を届ける」「社員の雇用を考える」姿勢を貫いてきた。現在は、「コンプライアンス」「人権」という基本要素に、「次世代支援」「地域貢献」「震災支援」を加え、アルビオンらしいCSRを確立するに至っている。

 そこで今回は、総務部CSRグループの小田部慎一グループ長と小池愛美係長に、これまでのCSR活動の歩みや社会貢献への取り組み、将来展望などについて話を伺った。

「次世代支援」「地域貢献」を柱に
昨年度からは「震災支援」加えて活動

 ——御社のこれまでのCSR活動の歩みを教えてください。

 小田部 当社では創業以来、お客様や専門店様、百貨店様に対して信頼していただけるように様々な活動を行ってきました。その後、ステークホルダー(お客様、お取引先様、社員、地域住民等)をきっちりと定義し、「法務」や「コンプライアンス」を統括する法務グループの設置を経て、現在は、2008年に新設されたCSRグループが中心となり、「社会貢献」や「地域貢献」をはじめ、様々なCSR活動を積極的に展開しています。

 活動の柱は、「安全と安心の取り組み」「環境への配慮の取り組み」「社会貢献活動の取り組み」「社員への取り組み」の4つで、「安全と安心の取り組み」と「環境への配慮の取り組み」については、工場におけるISO90001とISO14001の取得をはじめ、原料のトレーサビリティや従業員への安全管理、使いやすい包装や容器、チャレンジ25、エコキャップ運動などが主な活動です。

 「社会貢献活動の取り組み」では、次世代支援に関する活動として、地域の他企業の社員の方々も利用できる事業所内保育所「Kuukids」(銀座)の運営で待機児童削減に努めているほか、「アルビオンアワード」を開催し若手芸術家を支援するなど、様々な取り組みを行っています。

 小池 「地域貢献」に向けては、中央区を社会貢献活動のフィールドとして捉える区内に拠点を置く有志企業と中央区社会福祉協議会ボランティア・区民活動センターで構成された組織「中央ぷらねっと」(中央区社会貢献企業連絡会)に参加し、業種の枠を超えて子どもたちへの活動や緑化推進などに取り組んでいます。

 当社は「次世代」に関するワーキンググループに所属しており、近年では、中央区の伝統的な文化である箸づくりの職人を招き、子どもたちに「マイ箸づくり」を通じて環境と文化について考えてもらう機会を提供しました。

 小田部 その他では、昨年の東日本大震災に対する支援ということで、義援金のほかにも白神山地に当社研究所があることから、白神山水(飲料水)を10万本被災地に提供させて頂きました。また、化粧品サンプル30万個を被災地の方々にお届けし、非常に喜んでいただけました。

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創業の地「銀座」に地域貢献の象徴として
事業所内保育所「Kuukids」を開設

 ——様々なCSR活動のうち、核になる取り組みは何ですか。

 小田部 代表的な施策は、やはり事業所内保育所の取り組みだと思います。銀座の地で創業して50年以上が経過し、社会貢献活動を通じて何らかの形で恩返しをしたいと常々思っていました。

 そこで、他の会社に勤務していて待機児童問題でお困りの方や近隣の住民の方も利用できる施設を作ろうということで保育所を開設しました。土日あるいは平日夜9時まで営業している保育所は少ない一方で、土日営業のお店や夜遅くまで営業している企業が銀座にはたくさんあり、こうした企業にお勤めの方々が利用しやすい環境を整えていきたいと思っています。

 ——事業所内保育所の給食を通じた支援活動「TABLE FOR TWO」についてはいかがですか。

 小池 「TABLE FOR TWO」とは、特定非営利活動法人「TABLE FOR TWO International」を通じて行っている成人のカロリー過剰摂取を抑えて、貧困国でカロリーが足りない子どもたちに食事を提供する活動のことです。当社では、社員食堂やカフェテリアがありませんので、その代替として保育所の給食の提供数に応じて一食20円ずつ寄付しています。

 本来の活動主旨からすると、保育所の活動は少々違いますが、子供たちに対して支援していきたいという思いは一緒です。どこの国の子どもであろうとも等しく健康に育って欲しいという思いで申し入れを行い参画させて頂いています。

 ——その他にも「地域貢献」の取り組みを進めているそうですね。

 小池 特定非営利活動法人「銀座ミツバチプロジェクト(通称=銀ぱち)」の活動に参画しております。この団体は銀座に縁(ゆかり)のある企業やメンバーを中心に2006年に結成され、銀座の紙パルプ会館屋上で行う養蜂を通じて都市と自然環境との共生を目指した環境保護活動を行っています。

 当社は巣箱の提供や毎週の緑化活動(人的サポート)等の地域貢献を行っており、そこで採取されたハチミツを「イグニス H ボディ」シリーズの3品に配合しています。

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次世代担う健全な若者の育成に向け
美容部員や研究員を講師として派遣

 ——様々な世代の学生を対象にした講座にスタッフを派遣する活動が活発化しています。

 小池 学生向けの支援活動は、小学生向けの理科実験教室、中学生向けのマナー教室、高校生向けの肌診断・洗顔教室、障害をお持ちの特別支援学校生向けのメーク・マナー講座、大学生向けの就活メーク講座などの実績があります。

 3月上旬には、東京都教育庁人材バンクの枠組みを活用し、特別支援学校(学芸大付属特別支援学校と七生特別支援学校)を卒業する生徒さんに、身だしなみの一環としてメーク講座を行いましたが、「七五三以来、初めてお化粧しました」と保護者の方々からもお喜びの声を頂けました。社会に出たときに他の人と違うと劣等感を感じる学生の方々が非常に多いという先生方からのお話をお聞きしておりましたので、高校卒業の時期に合わせて、先生方と相談のうえ、社会人生活を楽しくする一つのツールとしてこのような活動をさせて頂きました。

 また、NPO法人を通じて行った「ハンドクリームで科学しよう」講座では、小学生の理科離れが進んでいることを受け、身近なものを使ってわかりやすく、理科の要素を取り入れた活動内容とし、好評をいただいております。この活動は、約4年間で年3〜4回ずつ実施しています。

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 ——若き感性あふれるアーティストを支援する「アルビオンアワード」についてはいかがですか。
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 小田部 美術大学を卒業した人のうち、芸術で生計を立てられる人はごく僅かと言われています。そうした方々に作品を出品してもらい、受賞という結果を出せれば、それをベースにまた次のステップに進めます。この賞を通じて、若いアーティストの活動のお役に立てればと考えています。

 昨年は、震災復興を願い「希望」をテーマにアート作品を公募しましたが、現在、その優秀作品を東北の被災地に巡回して展示する取り組み「アートを『力』にアルビオン東北アートキャラバン」を進めています。

社員が働きやすい環境づくりは
結果として多方面に好影響もたらす

 ——社員が働きやすい環境づくりに向け、どのような施策を行っていますか。

 小田部 「社員への取り組み」では、現在働きやすい環境づくりを推進する東京都産業労働局の「東京モデル」事業を軸に取り組んでいます。その一環として、東京都が設定する「東京しごとの日」の開催月である8月(2011年)に、社員の家族を職場に招待する初めての社内イベント「第1回ファミリーデー」を開催しました。社員のご子息をオフィスに招き、日頃ご両親がどういう仕事をしているのか、どんな場所で働いているのかを実際に目の当たりにしてもらい、理解を深めていただく機会を設けましたが、社長や外国人スタッフとの名刺交換を体験した子どもたちからは、「お父さんやお母さんの仕事をする姿を見ることができて嬉しかった」「楽しかった」という声が寄せられました。

 従来は、事業所内保育所のお子さんや近隣のお子さんを対象にハロウィンやひな祭りなどのイベントを定期的に開催していましたが、ファミリーデーでは、初めて小中学生のお子さん方に夏休み期間中にお越しいただきました。

 ——働きやすさの追求は、結果としてどのような好影響をもたらしていますか。

 小池 お客様に感動を提供するには、社員が楽しく安心して仕事をすることが不可欠です。社員が満足して働ける環境作りをすることが、結果的にお店様の繁栄やお客様の拡大につながると考えています。

 そこで当社では、「社員意識調査」「社員健康(心身)調査」「ファミリーデー開催」「東京都産業労働局『働きやすさの改革“東京モデル”事業』参画」など様々な取り組みを進めており、2012年2月末現在、育児休暇の取得率、復職率とも初めて100%を記録し、障害者雇用率も2.1%まで上がってきています。

 小田部 ワークライフセンターでは、6名の障害者の方々が、バリアフリー化した工場の中で様々な作業を行っています。最初は返品の仕分け作業などを行ってもらっていましたが、現在では、白神研究所で収穫した原料素材の一部を、細かく仕分けしてもらっています。茎や籾殻を仕分ける作業など、次第に本業に近い作業もお願いできるようになってきたことで、やりがいにもつながっているようです。

 最近では、多様性という言葉が一般的になりつつありますが、海外の子どもたちや経済格差のある方々を支援することは、どうしても社員には見えにくいものです。多様なバックグラウンドを持っている方々と接する機会を増やすことによって、多様性について社員に広く理解してもらえるような取り組みを進めて行きたいと考えています。

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全員参加型で人的支援を行うことが
アルビオンのあるべきCSR活動の姿

 ——2012年度の活動方針、長期展望についてはいかがですか。
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 小田部 当社の社員は、これまでも様々な形で社会貢献活動に参加してきましたが、より多くの機会を提供することで、さらなる参加を促していきたいと考えています。

 震災支援については、1年経つとスローペースになりがちですが、震災で家庭状況が大きく変化した子どもたちへの支援など、次世代に向けた活動を具体的に検討しています。

 さらに、2011年度から実施し始めた障害をお持ちの方々を対象とした身だしなみ講座も引き続き行っていく考えで、今後も一歩一歩着実に進めていきたいと思います。

 「銀ぱち」の活動支援などでは管理職が率先して緑化活動に参加しており、これこそがアルビオンの「あるべきCSRの姿」です。

 全員参加型で支援を行い、社員意識を高めることで本業だけでなく社会に貢献していく。それがアルビオンらしいCSR活動だと考えていますので、これからもさらに進化させていきたいですね。

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