2011年の衣料用洗剤市場は2000億円弱、前年比102~103%と、引き続き拡大傾向にある。付加価値の高い超濃縮液体洗剤(重質液体洗剤)へと育成の軸がシフトし、液体洗剤の使用者がますます増えている。この結果、市場全体では、液体と粉末の使用者の構成比は6対4となっており、液体の中でも、レギュラータイプから超濃縮タイプへ移行する動きは変わらず、約30%が超濃縮使用者になっている。
製品は、基本機能の洗浄力のほかに、香りや抗菌、防臭などの付加価値を求める傾向が高まり、各社は洗浄力を重視した主力シリーズとは別にシリーズを投入し、市場全体の活性化につながっている。
花王の「エマール」やライオンの「アクロン」に代表されるおしゃれ着洗い(軽質洗剤)は、一昨年から徐々に実績を伸ばしている。使用率の低い若年層を取り込むため、同世代の支持が厚いタレントをイメージキャラクターに起用した販促を行ったり、アパレルメーカーに対して講習会を開くなどして使用啓発を続けていることが成果に表れていると考えられる。
粉末洗剤は液体の使用率アップとともに市場が縮小傾向にあるが、衣類のまとめ洗いができたり洗浄力が高いなどの粉末ならではのメリットから、使用者からの支持は依然高い。各社、引き続き粉末洗剤市場は重点項目に挙げており、機能性を高めるなどリニューアルを行い、市場の活性化を図っている。
2011年の柔軟・仕上剤市場は、約1300億円となり、柔軟剤が前年比107%と伸び、高残香タイプにおいては2ケタ成長した。花王によると、34歳以下の若年層で使用率が上昇しているのに加え、1世帯数当たりの使用本数が増えており、市場成長を後押ししているという。最近は、その日の気分や洗濯する衣類によって香りを使い分ける傾向にあり、柔軟剤のパーソナルユース化がみられる。
漂泊剤は、激しい汚れの漂白から除菌や防臭へと使用目的が変わり、使用の習慣づけが成功し、前年比105%と増加傾向にある。
人口減により世帯数の増加があまり期待できない国内市場において、ファブリックケア市場は付加価値の高い超濃縮液体洗剤や高残香タイプの柔軟剤が好調で、市場拡大が続いている。さらに、まだ軽質洗剤やのり剤は若年層の使用率が低く、十分なのびしろがある。
今後、若年層に対しいかに製品の必要性を訴ええることができるかが、ファブリックケア市場の継続的な成長のカギとなっている。
【ファブリックケア特集・記事掲載企業】
◎花王~機能性のセグメント化でニーズに対応、軽質洗剤は若年層の使用啓発を続行
◎ライオン~衛生意識に着目した「トップ HYGIA」発売、講習会でおしゃれ着洗いの使用啓発を強化
◎P&G~「ボールド」に香りが変化する新製品、香りや無添加など様々なニーズに対応
◎エステー~児童の上履き洗いに狙いを定め、くつクリーナーで底堅い需要を開拓
◎NSファーファ・ジャパン~柔軟剤にベリー系「ロシア」の香り、ブロッキング陳列で他社と差別化
この記事は週刊粧業 掲載
■訪販化粧品~熱波吹き荒れた夏商戦を総括~今夏も記録更新の猛暑、売上げへ影響度合い様々 ■全粧協関東ブロック、CRCフォーラムセミナー開催 ■花王、ヘルスケア・コミッティーを子会社化~健康ソリューションサービスの開発・提供を推進 ■アライドハーツHDとキリン堂、経営統合に向け協議開始 ■プラネット、激甚災害に備えた障害訓練で安全性を担保 ■メロディアン、無菌・無添加のスキンケアで化粧品市場...
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