化粧品ビジネスに係わる者なら、ある時期を境にドラッグ店の陳列棚で急速に存在感を放ち始めた高級感のあるヘアケア製品に目を止め、しばし価格と発売主体を見やった経験を持つ人は少なくないと予測できる。
やがて、足と手を止めた人たちは近年になく大きい足音で到来した流行性のキーワード「ノンシリコン」に翻弄されながら、立ち上げ間もない新興の急成長企業ジャパンゲートウェイ(本社=東京)の存在に関心を注いだ。
2006年11月に設立した同社は、2010年10月に発売したシャンプー「レヴール」で一躍知名度を高め、業界が注目する急成長企業に駆け上がった。立ち上げの経緯や目指す方向性など、45歳の堀井昭一社長に聞いた。
価格訴求の蔓延に危機感持ち
自ら価値訴求の旗手へ名乗り
――女性衣料最大手ワールド(神戸市)に勤務していた堀井社長が、2006年に貴社を立ち上げた経緯を教えてください。
堀井 私自身が日本人として生まれて、世界で戦える日本のブランドを作りたいと考えていた。
アパレル事業でモノづくりの業界に係わった経験から、私は作り手の妥協なき志や研究者と技術者の考え方に加え、B品率の低さなどを総合した日本のモノづくりは世界的に誇れる財産だと思うようになった。日本の考え方は、グローバルスタンダードになれる位に高い志だと思っている。
一方で、外資系ブランドは反対にPRや(製品を)クローズアップする面に長けていて、この部分で日本に勝っている。
日本のメーカーには風潮として「内容がよければ売れるだろう」という考え方が見受けられ、商品の見せ方やマーケットへの差し込み方も含めて(新たに)作り上げていかないと、なかなか外資系と戦っていく日本ブランド(の誕生)は難しいと思えた。
私は、日本人は日本人の手で日本のブランドを壊しているように見えた。
価値訴求よりも価格訴求が勝っている時代にあって、どんなに良いモノを作ってもあっという間に値引き合戦に巻き込まれてしまう。
洗剤など一回の昼食代よりはるかに安い価格で売っている。「そんなに安い原価で本当に素晴らしい製品が作れるのだろうか」と考えた時、このまま「そこそこ満足する商品を作っていればいい」という精神では、日本が宝を失ってしまうという危機感が募った。
素晴らしい商品を世に出していくためには、価格よりも価値訴求しかないと考え、いま一度商品の価値そのものをクローズアップするマーケットづくりをするため化粧品の世界に入った。
ただ、価格訴求で育ったマーケットに価値を訴求していくことは簡単ではないと肝に銘じ、あえてそこにチャレンジするうえで試行錯誤や七転八倒する覚悟で会社とブランドづくりをすると決めた。
この生まれた国が好きで誇りを持っていることから、社名には「日本」とつけたかった。
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この記事は週刊粧業 2013年10月21日号 14ページ 掲載
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