激戦区のヘアケア市場、価格やニーズの多様化すすむ

カンタンに言うと

激戦区のヘアケア市場、価格やニーズの多様化すすむ

 市場調査会社の発表資料や大手メーカーへの取材によると、インバスヘアケア市場(シャンプー、コンディショナー、トリートメント)は2000億円規模で「微増」「横ばい」「微減」と判断が分かれている。

 いずれにしても、大きな浮沈は今後も見込みづらい市場ではある。ただ、そんな中でも新たな変化が生まれている。

 ジャパンゲートウェイによるノンシリコンを訴求した商材のヒットを機に、単価が上昇するなど価格帯の幅が広がっていることがその1つで、エイジングケアなど消費者ニーズの多様化も進んでいる。

ノンシリコンブームが沈静化か
プレミアム商材が成長の要に

 「レヴール」(ジャパンゲートウェイ)などのノンシリコン訴求の各ブランドは、有名女優を起用した大型宣伝の効果もあり、ここ数年で一気に使用者が拡大した。大手メーカーのマスブランドからスイッチする現象が生まれ、それにより単価が上昇する動きも顕在化した。

 ただ、従来からノンシリコン処方を採用していた既存ブランドが存在するように、ここにきてノンシリコンに対する消費者の理解も進んだ印象がある。そのため、ノンシリコンの一点訴求で押し寄せたブームはやや沈静化し、「ノンシリコン系の店頭露出が弱まっている印象がある」(メーカー関係者)と指摘されている。

 ノンシリコンか否かの二者択一論ではなく、そうした要素を含めてどうブランド価値を発信していくかが問われる段階に入っているといえそうだ。

 価格帯でみると、そうしたノンシリコン訴求の商材を含め、「(シャンプーのポンプタイプで)700円以上のプレミアム商材が伸びており、今後の成長の要」(メーカー関係者)とする分析がある。

 ノンシリコン訴求のブランドがヒットしたように、消費者の多くは高い値段でもそれに見合う価値を見出せば購入を決して躊躇しない考えをもっている。

 そんな中、今春はユニリーバ・ジャパンが大型新ブランド「クリア」を投入したことが話題を集めている。

 世界47カ国で展開し、年間売上高が1000億円を超える大型ブランドだ。大型プロモーションを仕掛けており、その動向がブランド別シェアにどのような影響をもたらすかを業界関係者は注視している。

 「クリア」はポンプタイプが800円、詰め替え用が600円前後という価格設定で、「ラックス」などの自社のマスブランドより価格設定は高い。

 「クリア」は30~40代を主なターゲットとしており、自立心の強い就労女性といった「最新のトレンド」(ユニリーバ)を取り込み、価格帯の安いマス商材からのトレードアップをねらう。

 ただ、そうしたマス商材も市場を支える重要な土台の1つであることに変わりはない。そうなると、「(価格の)二極化傾向」(メーカー関係者)が顕在化してくる可能性もありそうだ。

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