ライオン、「酵素パワーの『トップ』」が未来技術遺産に登録

粧業日報 2016年9月15日号 5ページ

カンタンに言うと

ライオン、「酵素パワーの『トップ』」が未来技術遺産に登録
 ライオンが1979年に発売した酵素配合の衣料用洗濯洗剤「酵素パワーの『トップ』」が、業界に先駆けてリン分低減による環境配慮と洗浄力向上の両立に成功したことが評価され、独立行政法人・国立科学博物館が認定する2016年度の「重要科学技術史資料(愛称=未来技術遺産)」に登録されることになった。

 同社が保有する技術資料が未来技術遺産登録を受けるのは、2009年度の「界面活性剤製造設備(TOリアクター)」に次いで2回目となる。

 国立科学博物館は、先人たちの科学技術を次世代に継承することを目的として、2008年に「重要科学技術史資料」の登録制度を発足させた。2015年までに計8回で209件が登録されている。2016年は16件が登録される。

 「酵素パワーの『トップ』」が売り出された1970年代は、生活排水の環境への影響が社会問題となり、「リン分を低減しながら洗浄力低下を補う技術」を開発することが求められ、難しい課題とされていた。

 そうした中、汚れを直接分解できる酵素は、洗剤の洗浄力を高める成分として期待されていたが、1960年代に国内外で発売された酵素配合洗剤中の酵素は、造粒技術が未熟なため発塵しやすく、洗剤の製造時や使用時の安全性に懸念の声が高まり、販売中止が相次いでいた。

 その当時、酵素を配合するための技術課題は「安全性」と「安定性」だったが、「安全性」については、ノボ社(デンマーク)製の顆粒状酵素を同社が慎重かつ広範に評価・確認して用いることで、「安定性」については、同社が洗剤の主成分としていた生分解性の良い界面活性剤AOSを活用することで解決した。

 今回の「未来技術遺産」の審査では、同業他社が酵素配合洗剤の販売を中止する中で、その安全性を確保し、市場に受け入れられた初めての商品である点が評価された。
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