ライオン、弘前大との「口腔内検査システム」実証実験で成果

粧業日報 2019年11月13日号 5ページ

カンタンに言うと

  • プロケアとセルフケアの双方の行動変化を促し、口腔状態の改善に
ライオン、弘前大との「口腔内検査システム」実証実験で成果
 ライオンは、公益財団法人ライオン歯科衛生研究所の協力のもと、国立大学法人弘前大学と共同で、新たに開発した歯科健診プログラム「口腔内検査システム」の実証実験を行った結果、健診受診者の行動が変化し、その結果として口腔状態が改善されることを確認した。

 なお共同研究は、2017年度・2018年度厚生労働科学研究費補助金(生活習慣病・難治性疾患克服総合研究事業)を用いて実施された。

 「口腔内検査システム」とは、「歯の健康」「歯ぐきの健康」「口腔清潔度」を5分間で計測する多項目唾液検査システムや質問紙調査、口腔内カメラを活用した歯科健診プログラムで、実証実験では、弘前市職員80名を対象とし、初回健診時と6カ月後健診時の調査結果を比較した。

 また、健診当日に検査結果を受診者にフィードバックし、検査結果に基づく口腔保健指導を行った。

 その結果、受診者の口腔ケア行動と、口腔内の状態について、以下の変化を確認した。

 受診者の口腔ケア行動(プロケア、セルフケア)について、初回健診と6カ月後健診の質問紙調査結果を比較した。その結果、プロケアに関しては、「歯科医院での定期健診受診者数」が約1.6倍に、「歯科医院等での歯みがき指導を受けた経験者数」が約1.3倍に、それぞれ有意に増加した。

 セルフケアに関しては、「平日の歯みがき回数」では、3回以上歯をみがく人の数が約1.2倍に、「歯間ブラシまたはデンタルフロスの使用頻度」では、毎日もしくは時々使用する人の数が約1.3倍に、「デンタルリンスの使用頻度」では、週に1~2回以上使用する人の数が約1.5倍に、それぞれ有意に増加した。

 初回健診時に実施した「口腔内検査システム」による検査結果のフィードバックや、それに基づいた口腔保健指導について、その後の受診者の口腔ケア行動に良い影響を及ぼしたかどうかを6カ月後健診時に調査した。

 その結果、「口腔内カメラ画像(歯科医師による口腔ケア指導コメント付き)」に良い影響を受けたと答えた受診者が65人(81%)と最も多く、次いで「唾液検査」が59人(74%)、「プロケア・セルフケアに関する教育講話」が55人(69%)と多い結果だった。

 以上の結果から、今回検証した多項目唾液検査システム、質問紙調査、口腔内カメラからなる新たな歯科健診プログラムと口腔保健指導が、その後の受診者の口腔ケア行動に良い影響を与え、プロケアとセルフケアの双方の行動変化を促し、口腔状態の改善につながったことが示唆された。
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