阪本薬品工業、ノンシリコン処方に応用可能な微粒子分散剤を提案

C&T 2020年3月16日号 22ページ

阪本薬品工業、ノンシリコン処方に応用可能な微粒子分散剤を提案
 天然グリセリンの国内トップメーカーとして知られる阪本薬品工業は、ヤシ油やパーム油から製造され、人体や環境にやさしいサステナブルな原料として食品や医薬品など幅広い産業分野で用いられる安全性の高いグリセリンを出発原料とし、乳化・可溶化・分散の各機能に特化した原料としてスキンケアからメークアップ、洗浄剤などの幅広い分野で活用されている「ポリグリセリン脂肪酸エステル」をはじめ、化粧品の保湿剤となる「ジグリセリン」「ポリグリセリン」など、多彩な機能性原料を提案している。

 サンケアのカテゴリーにおいては、紫外線散乱剤に使用される酸化チタン(TiO2)や酸化亜鉛(ZnO)といった無機微粒子粉体の分散剤として、油脂系油剤中においてTiO2やZnOの分散性に優れ、ポリエチレングリコール(PEG)フリーやノンシリコン処方にも幅広く応用できるポリグリセリン脂肪酸エステル「SCIS-101」(表示名称=(イソステアリン酸/コハク酸)ポリグリセリル-10)の提案に注力している。

 ノンシリコン処方のサンケア・サンスクリーンは欧米をはじめ、グローバルで大きなトレンドとなっており、処方設計において使用される分散剤としてポリヒドロキシステアリン酸が一般的に多いが、感触がベタつくといった課題がある。

 一方、SCIS-101はポリグリセリン脂肪酸エステルをベースとしているため、保湿効果がありながらもベタつきがなく、肌に対する安全性も高い。

 ポリヒドロキシステアリン酸と分散性能を比較した試験では、SCIS-101の方がTiO?の分散性能が高く、ZnOではほぼ同等の数値となった(図)



 また、高濃度の分散系においても、低粘度で透過性の高い分散物が調製できることが確認されている。

 「ノンシリコン処方でベタつきがなく、しかも乳化力が高く低粘度で調製できるような素材を各社が検討している中で、当社のポリグリセリン脂肪酸エステルはそれらのニーズを全てカバーしている。また、小さなお子さんでも安心して使用できる安全性の高さもあり、国内外で高い評価を得ている」(同社)

 サンケアのカテゴリーではこのほか、COSMOS認証に対応した2つの既存乳化剤(「SフェイスIS-201P」(同=イソステアリン酸ポリグリセリル‐2)/「SYグリスターCRS-75」(同=ポリリシノレイン酸ポリグリセリル-6)を組み合わせたポリグリセリン脂肪酸エステルが、環状シリコーン系や炭化水素油系、混合油系などの各種油剤を幅広く乳化し、安定したW/Oエマルションの調製を可能にする。では、各種油剤での具体的な乳化性能のデータを示している。

 「ポリグリセリン脂肪酸エステルは、保湿効果のあるデイリー用サンケアの処方設計において最適な乳化剤と分散剤として提案している。ポリグリセリン脂肪酸エステルはサンケア以外にも、化粧下地やベースメークなどの乳化剤や分散剤としても幅広く採用されている」(同社)

 2019年11月には、新設部署として「アプリケーションラボ」を立ち上げた。化粧品・食品分野の応用研究をはじめ、取引先と意見交換しながら最終製品に近い処方設計の提案を目指し、今後もさらなる研究体制の強化を進めていく方針だ。

 「昨今ではグローバルなトレンドとして、サステナブルで環境に配慮した製品へのニーズが高まっており、原料においても環境への負荷が少なく持続可能な自然由来の素材に切り替える動きが目立っている。当社では、持続可能なパーム油の生産と利用を促進することに賛同し、RSPOサプライチェーン認証を取得している。数ある原料の中でも、特に環境と人にやさしい原料として天然グリセリンを出発原料とするポリグリセリン脂肪酸エステルへの注目がますます高まっている。実際に、販売量は年々伸長しており、今後のさらなる需要増に応えるべく、生産設備の増強も進めていきたい」(同社)
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