薬用化粧品・機能性表示食品OEM受託製造メーカーの天真堂は、コロナ禍でも通販を主軸とする国内のクライアント企業からの受注が引き続き好調で、今上期(1~6月)の受注実績は前年同期を上回る形で推移した。
上期の取り組みと下期の展望について、松﨑淳社長に話を伺った。
――コロナ禍での受注状況についてお聞かせください。
松﨑 当社ではeコマースで活躍されているクライアントとの取引が多いことに加え、育毛剤などのヘアケアがメインカテゴリーとなっており、外出自粛やマスク着用によって大きな影響を受けているメークアップの取り扱いが低かった。
こうした状況もあり、上期の受注状況については計画から大きな変動がなく、前年同期を上回る形で好調に推移した。
――コロナ禍で新たに取り組まれたことは何でしょうか。
松﨑 社内での取り組みでは、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、本社で新たにリモート・在宅勤務を導入した。
営業活動にはオンラインツールを活用しており、今のところ売上ロスや受注損失もなく、取り組みとしては成功している。
研究開発では、「シワ改善」の効能効果を訴求できる医薬部外品の開発を進めており、今秋に厚生労働省から複数の処方が承認を得られる予定で、既に商品化の引き合いが寄せられている。
今上期は、出展を予定していた中国の展示会への参加を見送らざるを得ない状況となった。
そこに向けて特長のある処方を新たに開発してきたが、巡り巡って国内のクライアントから使用感や保湿感が好評をいただき、受注が増加している。
――「コロナ時代の製造業の生き方」については、どのように捉えていますか。
松﨑 業界全体としては、従業員の健康や命をいかに守りながら、この状況下でも製造や物流を止めず、事業を継続していけるかが課題といえる。
今回のコロナ禍で、リアル店舗が一律で休業となったほか、インバウンドの需要が大幅減になるといった不測の事態が起こり、特定のチャネルに偏ってしまうと、それがリスクになることが表面化した。
展開する国やチャネルの多様化が進み、小ロット・多品目を希望するクライアントからの需要に対し、今後は製造側がしっかりコミットしていく必要があると強く感じた。
当社では現在、国内通販チャネルをメインとする既存クライアントの販路拡大に向け、日本のリアル店舗と中国のEC・リアル店舗の進出をサポートする「クロスボーダーOEM」を推進している。
今後も引き続き、研究開発・製造・物流の各方面において我々がこの先の需要を見越したうえで、クライアントに寄り添っていけるような事業展開を目指していく。