週刊粧業 2024年4月8日号 17ページ
日本色材工業研究所では、「クリーン・ビューティへの積極取組」を柱に、使用する原料に制約がある中で機能性に優れた人と地球にやさしいメイクアップの開発を進めている。
最新のイノベーションを用いた具体的な製品事例などについて、常務取締役の南孝司氏に話を伺った。
――最新のイノベーションを用いた製品事例をご紹介いただけますか。
南 我々が特に注力しているのが口紅で、マスクに口紅が付かない技術としては、唇から自然と蒸発する水分により、口紅の中の成分の一部がゲル化して唇に密着させる技術や、口紅の中に含まれる透明なツヤ出し成分(油分)の一部が塗布後に染み出る技術などがある。
この2つの技術が組み合わさることで、口紅の上に透明な油膜が形成されて艶のある仕上がりとなり、マスクに色が付きにくい口紅が実現できる。
当社では、コロナ前から独自のアプローチで密着ジェル膜を形成し口紅の成分中に含まれるツヤ出し成分が自動的に染み出してくる技術の開発を進めてきた。
この技術を応用した製品は昨年度から展開しており、密着性とツヤのある仕上がり、使用感が非常に好評で売上にも貢献している。現在はこの技術をさらに発展させるべく、継続的に研究開発を行い、改良を重ねている状況だ。
――最新の研究知見と今後の抱負についてお聞かせください。
南 当社ではフランスに製造拠点を持ち、EUをはじめグローバルメーカーとの取引が多い。そうした中で近年、様々な肌の色に適合する、より綺麗で自然な仕上がりを実現し、さらにクリーン・ビューティにも対応したファンデーションへのニーズが高まっている。
そこで、我々としてはクリーン・ビューティ対応原料の中から色素や顔料などの組み合わせにより、どのような肌の色の人でも健康的で美しい仕上がりを実現するファンデーションの製造技術を確立し、製品化に向けて現在取り組んでいるところだ。
今後の抱負としては、日本においてクリーン・ビューティに対応したメイクアップOEMというポジションを確立するべく次なる目標として、我々の強みをさらに発揮していけるよう、化粧品本来の美しさや使い心地といった機能性をより向上させるための研究開発に注力していきたい。
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この記事は週刊粧業 2024年4月8日号 17ページ 掲載
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