LINEは今年8月11日、自分にマッチしたコスメや美容情報が簡単に見つかる美容ポータルサイト「lacore(ラコア)」をオープンした。
lacoreは、イエローベースやブルーベースなどのパーソナルカラーや肌質、年齢など登録時に入力した情報やサイト内の行動履歴に応じて、AIがユーザーの好みにあった商品やコンテンツをパーソナライゼーションして提供している。
また、商品ごとのクチコミやレビューなど、利用者のリアルな声を事前に確認できるほか、お気に入りの商品やブランド、ビューティコラムなどをブックマークページ「My lacore」に保存でき、自分だけのオリジナルの美容ブックを簡単に「lacore」内に作成することも可能だ。
今回は、LINE GSSセンターGSSビジネス企画室室長の田村翔平氏と、化粧品業界を専門にマーケティング・コンサルティング事業を展開するソフィアリンクス代表の三原誠史氏に、競合サービスとの違いや、コロナ禍でlacoreを展開した狙い、事業スキーム、将来構想などについて話を伺った。
LINEの集客力を活かし企業と
顧客の出会いを創出
――様々な業種や業界の選択肢がある中で何故、化粧品業界に特化したサービスを展開されたのでしょうか。
田村 当社では「CLOSING THE DISTANCE」を社是とし、LINEを入り口としてオンライン・オフライン問わず、24時間365日いつでもどこでも人・情報・サービス、企業・ブランドとシームレスにつながり、全てが完結する「スマートポータル戦略」を展開している。
2017年にスタートしたショッピングサービス「LINEショッピング」は現在、会員数が3500万人を突破し、3億点以上の商品を取り扱い、参画ショップ数も300店舗以上に及ぶなど、ユーザーと企業との多くの出会いを創出してきた。
LINEショッピングをはじめとするLINEのファミリーサービスでは、女性や若年層を中心に日常商材を購入されるケースが多かった。そこで今回、新たなビジネスを立ち上げるにあたり、相性の良い女性向け日常商材のコスメを選択した。
三原 社会全体を見渡すと、化粧品業界のEC化は先んじて早かったが、EC化率の伸びが鈍化していた。今回のlacoreは、そうした状況をさらに活性化するものと期待されている。
――オンラインの事業スキームは自社サイト型とモール型があり、今回の試みはその中間地点に位置づけられると認識しておりますが、お2人のご見解をお聞かせください。
三原 メーカーとしてはこれまで、自社ECサイトへと誘引してその中でロイヤル顧客化することを主眼に置いてマーケティングを行ってきたが、数年前からモールの力が増して自社ECサイトで買う必然性が顧客にとって理解しづらい状況となっていた。
そのため、メーカー側は発想の転換を行い、モール内で顧客ロイヤリティを高めていく、あるいは自社ブランドのリピーターを育てていくという動きに変わってきている。
田村 自社ECサイトに関しては、そのメーカーやブランドが好きで購入する顧客ロイヤリティの高いファンでしか得られない情報を提供することができ、ここがお客様と一番正しい出会いの場所であると思っている。
ただし一方で、ライトユーザーはあまりそこで買う理由がなく、新しいお客様との出会いという点においてモールの集客力には敵わない。
そのため、現在はハイブリッドに使い分けることが主流となっているが、モールに出店すればそこでの集客が見込めて購入にもつながるが、IDが一体化できずその後のロイヤリティ化が進まないといった課題がある。