ライオン 竹森征之社長、より良い習慣づくりで人々の毎日に貢献する

週刊粧業 2024年1月1日号 66ページ

ライオン 竹森征之社長、より良い習慣づくりで人々の毎日に貢献する
 昨年2023年には、“〇〇ぶり”といった数々の印象的な出来事がありました。4年“ぶり”にコロナが落ち着き夏祭りや花火大会等、様々なリアルイベントが日本国内で再開しました。また、スポーツ界に目を向けてみれば、14年“ぶり”の WBCでの日本代表の優勝、プロ野球で日本一となったチームは38年“ぶり”の優勝を果たしました。

 通じて言えることは、「私達が強い意志をもって挑戦すれば、時間はかかるかもしれませんが、再び喜びを手に取り戻すことができる。」それらに関わる人間や組織の強さの様なものが垣間見られた一年ではなかったでしょうか。

 一方で、言うまでも無く、厳しい局面に直面したことも明白です。日本を含むアジアの経済環境に目を移しますと、物価の上昇がアジアの人々の生活を圧迫し、コロナ明けで期待された景気回復もレジャーや飲食といった一部の業界に留まりました。我々が生業としている日用品・化粧品業界の消費の勢いは相対的に弱いものでした。

 また、我々を取り巻く事業環境に目を転ずると、原材料費・電力費・物流費の高騰や為替相場の円安はコスト上昇につながりました。我々はそのような厳しい事業環境においてもサステナブルな事業を実現するために、付加価値化を進め、収益構造改革に取り組み、時には適正な値上げも行ってまいりました。しかしながら、事業環境の厳しさは我々の努力を上回るものではなかったでしょうか。

 2024年も継続的な厳しさが顕在化しています。本年も物価や生活コストの上昇に起因した消費マインドの減退は、購入・消費量の抑制をもたらし、単価アップによる購入金額の上昇をキャンセルし、その結果、市場の加速的な成長は難しいものになるかもしれません。特に構造的な問題である人口停滞・減少局面にある日本や韓国、中国などの北東アジア諸国の市場においては、この様な傾向は一層ダイレクトに効いてきます。この状況においても、サステナブルに事業を運営していくためには、我々は“経済価値”と“社会価値”の両面で企業価値を高めていかなくてはなりません。

 経済価値という観点からは、新たな需要を創造するに資する付加価値型の商品育成を製・配・販で連携し「共創」するとともに、世界水準でのコスト競争力を確保すべく、様々な生産性を高める諸活動もバリューチェーン全体で「共創」していくことが求められます。社会価値という観点からは、SDGs(持続可能な開発目標)に掲げられている、環境・社会・経済に対する社会的責任も果たしていかねばなりません。近しい指標が取り上げられているESG投資の観点では、人口減少による人手不足を受け、「人的資本」の開示も求められております。さらに日本において、本年は、物流クライシスへの対応元年となります。これら対処すべき課題のうち、個社だけで解決できることは限られております。業界の枠を超えて我々が「共創」して解決に臨んでいくことが求められます。

 我々は前に進み続けなければなりません。冒頭申し上げました、昨年の WBC日本代表の14年ぶりの優勝という快挙は、格上のアメリカに決してひるまず、個人の並外れた努力と、それを一人ひとりがオーナーシップをもってチームのために行動したからこそ実現されたと私は考えております。健全な「競争」を通じて個社の持続可能性を高めることはもちろん、その総和として社会の持続可能性を高めるために、積極的に「共創」してまいりましょう。

 『〇〇年ぶり』に当業界が日本・アジア経済を牽引したターニングポイントは2024年であったと後年語られる年になるべく、私も研鑽してまいります。
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