【週刊粧業2014年10月6日号4面にて掲載】
弊社では、アジアでも注目を集めるASEAN化粧品市場は、今後も経済成長率による中間層(ローワーミドル層およびアッパーミドル層)の増加と中間層による活発な購買意欲向上を背景に、市場は拡大基調で推移すると予測しています。
また、日本貿易振興機構の調査でも、2020年には、インドネシア、フィリピン、ベトナム、タイの4カ国では中間所得層(アッパーミドル層およびローワーミドル層)が消費の中心になり、マレーシアでは富裕層が消費の中心になると予測していますので、今後、日系メーカーのASEAN地域における成長には、富裕層の需要確保はもちろん、中間層の需要の確保が不可欠になると思われます。
中間層のニーズにあった価格帯の商品の投入
中間層を開拓するにあたって問題となるのは価格面です。日系メーカーの製品は高品質で安全、そして美白に代表される技術力の高さから人気がありますが、ASEANのアッパーミドル層やローワーミドル層から見ると、「欲しいけど少々高い」という位置づけになってしまいます。
日系メーカーとしては、日本の強みである高品質を前提として、中間層のニーズにあった価格帯の商品を開発して投入し、拡大する中間層の需要を確保していくことが求められています。ASEAN化粧品市場では、すでに、アッパーミドル層やローワーミドル層に対して、価格の安さで勝負するローカルメーカーに加え、比較的安価でファッショナブルさを訴求する韓国系メーカーやブランド力と販売力で勝負する欧米系メーカーが攻勢をかけていますので、早急に手を打つ必要があると思います。
浅井潤司
(株)矢野経済研究所主席研究員
2000年に矢野経済研究所に入社後、主にビューティー・リラクゼーション業界の市場調査、分析業務を担当。また、調査・分析業務だけでなく、中国市場進出支援、販路開拓支援、新規事業支援、地域振興・産業振興支援などのコンサルティング業務も手がけている。
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