第25回 PB化粧品

【週刊粧業2018年02月12日号12面にて掲載】

 今回取り上げるキーワードは『PB化粧品』です。

■PBとは

 『PB(プライベートブランド)』とは、小売業者や流通業者が企画販売する製品群を指します。

 主なところでは、イオンの「トップバリュ」やマツモトキヨシの「マツキヨ」などがあり、いまや消費者にすっかり根付いています。

 化粧品市場においては、2000年代半ば頃から急速に増え始め、現在も増加の一途を辿っています。

 その背景には、景気の低迷や消費増税に伴う消費者の低価格志向、通販など他業態との競争の激化による高い利益商材への注目、PBに対する消費者のイメージの向上などが挙げられます。

■PB化粧品の変化

 PB化粧品はその数が増えるにつれて、①品質、②種類、③パッケージ、④販促、⑤製造など、さまざまな点で大きく変化してきています。

 ①については、従来はNB(ナショナルブランド)よりも価格が2~3割安い分、品質は少し劣るとされるものが多かったですが、現在はオーガニック成分を配合するなど品質にこだわり、それでいて値段は少し安い(コスパはむしろ高い)ものが増えています。

 ②については、従来は入浴剤やボディソープなどのトイレタリー系が中心でしたが、現在はスキンケア(スペシャルケアも含む)をはじめ、ヘアケアやメイクアップも増え売上が伸びています。

 ③については、従来は「シンプルで地味」なものが主流でしたが、現在はそれぞれのブランドの世界観を体現し、華やかでより洗練したものが増えています。

 ④については、小売側はこれまであまり注力しませんでしたが、現在は美容部員を配置したりTVCMなどのマス広告を投下したりするなど積極的に行うようになっています。

 ⑤については、従来はOEMメーカーが中心的な役割を担っていましたが、近年は大手化粧品メーカーも積極的に手掛けるようになりました。

 特に近年は、PBとNBのそれぞれの名前が併記される、いわゆるダブルネームが増えています。

■今後の方向性

 小売業界では店舗数が頭打ちになり、取扱商品の同質化により競争がいっそう激しくなるなかで、いかに他社と差別化を図り収益を確保するかが喫緊の課題として挙げられています。

 また、PB化粧品に対する消費者の要求水準はいっそう高まり、もはや「安い」だけでは売れなくなっています。

 そうしたなかでロフトでは、顧客の購買行動を徹底的に分析し、大手メーカーと共同開発したオリジナルブランド「ロフコス」を立ち上げ一定の成功を収めています。

 今後、「ロフコス」のような、より高付加価値型のPB化粧品がますます増えると思いますが、NBではとらえきれない消費者のニーズにどこまできめ細かく対応できるかが、成否の鍵となるでしょう。
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松本 竜馬

TPCマーケティングリサーチ(株)マーケティングマネージャー

大阪大学大学院人間科学研究科博士課程修了。社会学(ジェンダー/セクシュアリティ論)を専攻した後、マーケティング調査や化粧品・美容業界に興味を持ち、2007年に総合企画センター大阪に入社。以来、一貫して化粧品・美容領域に特化した市場調査や消費者調査を多数手掛けているほか、化粧品企業や広告代理店などからのマーケティング相談への支援も行っている。

http://www.tpc-osaka.com/

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