【化粧品メーカーR&D(研究開発)事例】市場規模・トレンド・ニュースランキング

こちらのコーナーでは、「【化粧品メーカーR&D事例】市場規模・トレンド・ニュースランキング」と題し、市場トレンドや参入各社の取り組みについてまとめています。


2021年の化粧品メーカーR&D費は前年比4.1%増

TPCマーケティングリサーチは、化粧品メーカーのR&D戦略について調査を実施し、その結果を発表しました。

2021年における主要化粧品企業13社のR&D費は前年比4.1%増となりました。

近年は各社が国内外の研究拠点の拡充や、細胞や遺伝子、AI、デジタルなどといった先端技術分野への投資を精力的に行っていることから、R&D費は拡大傾向にあります。


化粧品メーカー各社のR&D(研究開発)最新トレンド

化粧品メーカーのR&D(研究開発)は、技術革新と消費者ニーズの変化に対応するために多岐にわたります。

1. サステナビリティ

環境に配慮した製品開発が進んでいます。リサイクル可能な包装材の使用や、天然由来の成分を使った製品が増えています。また、動物実験を行わないクルエルティフリーの製品も注目されています。

2. パーソナライズドケア

消費者一人ひとりの肌質やニーズに応じた製品を提供するパーソナライズドケアが進んでいます。AIやビッグデータを活用して、個々のユーザーに最適な化粧品を提案するサービスが増加しています。

3. テクノロジーの活用

高機能な成分や新技術を用いた製品開発が進んでいます。例えば、ナノテクノロジーを活用した成分の浸透力向上や、バイオテクノロジーを用いた新成分の開発などが行われています。

4. クリーンビューティー

合成香料やパラベンなどの有害成分を排除した「クリーンビューティー」製品が増えています。消費者の健康志向の高まりに応じて、安心して使える製品が求められています。

5. アンチエイジング

アンチエイジングの分野では、老化のメカニズムを解明し、それに対応する新成分の研究が進んでいます。特に、シワやたるみ、シミに対する効果が期待される製品が開発されています。

まとめ

これらのトレンドは、日本の化粧品メーカーがグローバル市場で競争力を維持し続けるために重要な要素となっています。

化粧品メーカー各社のR&D(研究開発)事例

1.資生堂

資生堂のR&D(研究開発)の特徴は、科学技術と美の融合、革新性、そして持続可能性に重きを置いている点にあります。

先進的な科学技術の活用:資生堂は皮膚科学、生物学、化学、工学などの多様な分野の最先端技術を駆使して、化粧品の開発を行っています。たとえば、肌のメカニズムに関する研究や、老化プロセスの解明など、科学的根拠に基づいた製品開発が特徴です。

グローバルな研究拠点:資生堂は日本を含む世界各地に研究拠点を持っており、地域ごとの美のニーズや文化に合わせた製品開発を行っています。これにより、各市場に適した革新的な製品を提供することが可能です。

イノベーションと独自性:資生堂は新しい成分や技術を積極的に取り入れ、独自の製品を生み出すことに注力しています。たとえば、「アルテミシン」など、資生堂が独自に開発した成分を使用することで、他社にはない独自の効果を持つ製品を提供しています。

持続可能性への取り組み:環境に配慮した製品開発も重要な柱となっており、エコフレンドリーなパッケージの採用や、持続可能な原材料の調達など、サステナビリティを考慮したR&Dが行われています。

美と健康の融合:資生堂のR&Dは、単に外見を美しくするだけでなく、内面的な健康やウェルビーイングも重視しています。このため、スキンケア製品だけでなく、インナービューティーをサポートするサプリメントや、香りの効果を利用したメンタルケア製品など、総合的なアプローチを取っています。

2.花王

花王の化粧品事業におけるR&D(研究開発)の特徴は、科学的根拠に基づく製品開発、消費者のニーズに応える革新性、そして持続可能性の推進にあります。以下にその主要な特徴を紹介します。

科学的根拠に基づく開発:花王は肌の構造や生理機能に対する深い理解に基づいて化粧品の開発を行っています。例えば、研究者たちは皮膚科学や分子生物学の知識を応用し、肌のバリア機能を強化する技術や、シミ・シワの改善に効果的な成分を開発しています。これにより、エビデンスに基づいた信頼性の高い製品を提供しています。

生活者中心のイノベーション:花王は、消費者のライフスタイルや価値観の変化を的確に捉え、それに応じた製品を開発することに注力しています。たとえば、時代に合わせた簡便さや使い心地を重視した製品設計、個々の肌質や悩みに合わせたカスタマイズ製品など、ユーザーエクスペリエンスを向上させる革新が特徴です。

持続可能性の推進:花王は環境に優しい製品開発に積極的に取り組んでおり、環境負荷を低減する技術開発や、再生可能な原材料の使用を進めています。また、製品のライフサイクル全体を通じて環境への影響を最小限に抑えるための取り組みも行っています。

クロスディシプリナリーなアプローチ:花王のR&Dは、化粧品分野だけでなく、生活用品やヘルスケア製品など、他の事業分野から得られた知識や技術を活用している点が特徴です。このような分野横断的なアプローチにより、例えばスキンケア製品の中に日用品の技術を組み込むなど、独自の製品開発を実現しています。

先進的な技術の採用:花王は先進的な分析技術やシミュレーション技術を積極的に採用し、製品の効果を科学的に検証しています。これにより、製品の安全性や有効性を確保しつつ、消費者に新しい価値を提供することが可能となっています。

3.コーセー

コーセーのR&D(研究開発)の特徴は、伝統と革新の融合、独自の技術開発、そして美とサステナビリティへの強いこだわりにあります。

伝統と革新の融合:コーセーは、日本の伝統的な美意識と最先端の科学技術を組み合わせた製品開発を行っています。これにより、現代の消費者ニーズに応える革新的な製品を提供しつつ、伝統的な価値観や素材を大切にしています。たとえば、和漢植物エキスなど、日本の伝統的な成分を用いた製品が代表的です。

独自の技術開発:コーセーは、独自の技術を活用した製品開発に強みを持っています。肌への浸透性や保湿効果を高める技術を開発し、スキンケア製品に応用しています。また、メイクアップ分野でも、色彩科学やテクスチャーの研究を進め、発色や持続性に優れた製品を提供しています。

サステナビリティへの取り組み:環境に配慮した製品開発もコーセーのR&Dの重要な要素です。再生可能資源の使用や環境に優しいパッケージングの採用、製造工程でのCO2排出削減など、持続可能性を重視した開発が進められています。さらに、コーセーは生物多様性の保全にも取り組んでおり、原料調達においても環境保護を考慮しています。

グローバルな視点での開発:コーセーは、国内外の市場における消費者の多様なニーズを満たすため、グローバルな視点でR&Dを展開しています。アジア、北米、欧州などの市場ごとに異なる肌質や嗜好に合わせた製品を開発することで、各地域の消費者に最適なソリューションを提供しています。

エビデンスベースのアプローチ:コーセーのR&Dは、科学的なエビデンスに基づくアプローチを重視しています。皮膚科学や材料科学の研究を通じて、製品の有効性や安全性をしっかりと検証し、信頼性の高い製品を市場に提供しています。

4.ポーラ

ポーラのR&D(研究開発)の特徴は、肌科学に対する深い探求、独自の成分開発、個別対応型のアプローチ、そして持続可能性を重視した取り組みにあります。

肌科学への深い探求:ポーラは「肌に対する深い理解」がR&Dの基盤となっています。特に、皮膚老化のメカニズムや肌質の違いに関する研究に力を入れており、これに基づいて製品を開発しています。例えば、シワやたるみなどの老化現象に対するアプローチにおいて、最新の皮膚科学研究を応用しています。

独自の成分開発:ポーラは独自の成分開発においても業界で高い評価を受けています。たとえば、「B.A」ラインで使用される成分や、抗老化・美白を目的とした成分など、科学的な裏付けのある独自成分を取り入れることで、他社製品との差別化を図っています。

個別対応型のアプローチ:ポーラは「パーソナライズド・スキンケア」にも注力しています。顧客の肌の状態やライフスタイルに合わせたカスタマイズ製品の提案を行っており、個別のニーズに応えることを重視しています。このアプローチは、肌診断技術と連携して行われ、より精度の高い製品提案を実現しています。

持続可能性の推進:ポーラは、環境保護や社会的責任を重視したR&Dを行っています。例えば、製品開発において環境に優しい成分の使用や、リサイクル可能なパッケージの採用に積極的に取り組んでいます。また、サプライチェーン全体でのCO排出削減や、エシカルな素材調達など、サステナビリティに関する取り組みを強化しています。

先進的な技術の導入:ポーラは、AIやビッグデータを活用した肌分析技術や、最先端のバイオテクノロジーをR&Dに取り入れています。これにより、消費者一人ひとりに合わせた高精度のスキンケア製品を開発・提供しています。

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