小林製薬が昨年3月に発売した傷あと改善外用薬「アットノン」(第2類医薬品、15g1300円)は、展開13カ月で初年度の売上目標に掲げた6.5億円の1.8倍にあたる12億円を出荷するなど、昨年は傷跡をケアする「あとケア」市場が拡大した。
これまでの傷あとを隠す意識から「治して目立たなくしたい」というケア意識が生活者に浸透しはじめ、今年は同様のコンセプトを持った商品の参入が予想される。昨年の市場拡大に大きく寄与したアットノンは、肌の露出度合いといったファッションとの兼ね合いもあり、春先から晩夏にかけて、同社の主力医薬品「フェミニーナ軟膏S」(年間売上高11億円)を上回るペースで推移したという。
同社は発売1年を通じて、「(傷あとを)治療して目立たなくしたい」という潜在ニーズを掘り起こし、「当初ユーザーに想定していた20~30代の若い層だけでなく、40~50代女性も取り込むなど、幅広い年齢層に支持された」ことを好調の大きな要因に挙げている。また、前期は最も消化した夏期のブランド認知率が45%で、未だ多くの需要が残っているため、今期は前期よりも早い時期からの広告投下、店頭展開により、トライアル層を獲得し、2011年度比10%増の11.2億円(出荷金額ベース)を目指す。
一方、井田ラボラトリーズの輸入販売事業を担う子会社・ジャンパールは、保湿美容オイル「バイオイル」(2種、60mL1600円、125mL2800円)の輸入販売を2006年4月より開始し、日本における跡ケア市場のパイオニアブランドとして展開している。
「バイオイルは、南アフリカのユニオン・スイス社が開発した美容オイルで、現在、世界26カ国で販売されている。英国、カナダ、オーストラリアなどでは、傷跡や妊娠線をケアする製品としてヒットしており、シンガポール、マレーシアをはじめとするアジア諸国でも需要が高まってきている。日本でも発売から丸6年が経過したが、順調に推移している」(井田ラボラトリーズ・井田仁幸社長【写真】)
また同社は、一般市場とは別に、傷跡軽減に関する臨床試験・評価データを蓄積し、損傷治療、乳がん、がん看護などの医療従事者らへの啓蒙活動を積極的に行っている。昨年に続き今年3月には都内でプレスセミナーを開催。セミナーでは、湘南鎌倉総合病院で創傷治癒を専門にしている山下理恵形成外科・美容外科部長が「傷跡が形成されるメカニズムと傷跡ケアについて」をテーマに講演した。
井田社長が「バイオイルを通じて3年間続けている意識調査では、88%の女性が跡ケアしたいと考えている」と挨拶の中で紹介したように、生活者には傷跡をケアしたいという意識が着実に浸透してきているようだ。
同社ではこのほど、バイオイルで傷跡ケアに加え、「乾燥による小ジワを目立たなくする」という新たな効能評価のデータを取得。高い保湿機能も付加することにより、売場での差別化を図り、新規ユーザーを獲得していく。
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この記事は週刊粧業 掲載
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