粧業日報 2024年10月24日号 2ページ
アルビオンは、化粧品の効果実感や魅力向上につなげるカプセル技術の研究を進める中、液化ジメチルエーテルを用いたニオソームの調製方法を開発した。この研究成果は化学工学会第55回秋季大会(2024年9月11日~13日)にて発表した。
ニオソームとは、非イオン性界面活性剤が親水基同士、疎水基同士をそれぞれ向かい合わせて二分子膜を形成した構造体を指す。非イオン性界面活性剤を用いたニオソームは、膜の物性を制御しやすく、安定性に優れるとされている点が特長だ。これまでに様々な調製方法が提案されてきたが、従来法においては、人体に有害な有機溶媒を用いない方法で幅広い有用成分を含有しうるニオソームを調製することは困難だった。
カプセル技術は不安定な成分の安定配合や、有用成分を肌へ効率的に届けることなど、化粧品の効果・魅力を高める技術の1つとして研究されており、高分子ナノミセル、ベシクルなどの種類がある。研究では、ベシクルの一種であるニオソームに着目し、ジメチルエーテル(DME)の利用を試みた。
DMEはアルビオンにて植物エキス抽出の溶媒として使用され、自社独自の技術として実用化されている。生体毒性が極めて低いガスで、加圧により室温で容易に液化する性質を持つ。また、液化DMEは水溶性・脂溶性成分に対してともに高い溶解力を持ち、室温・大気圧で容易に揮発し、非加熱で溶媒除去が可能であるため、安全な低エネルギー溶媒として注目されている。
このようなDMEの性質を活かし、ニオソームの新規調製方法の確立に向け、検討を開始した。その結果、安全・簡便でオリジナリティが高く、幅広い種類の成分を含有可能であるニオソームを調製することに成功した。
得られたニオソーム溶液を整粒した後、クライオ透過型電子顕微鏡観察にて構造解析を実施した結果、200nm前後の単層および二重の粒子を観察することができ、膜厚からは非イオン性界面活性剤が二分子膜を形成していることが示唆された。また、この方法にて調製したニオソームは水溶性・脂溶性成分どちらも含有可能であることが確認できた。
今後は、目的に応じた特性のニオソームを調製するため、非イオン性界面活性剤の種類や膜構成成分について幅広く検討するほか、有用成分の浸透性の向上や化粧品に配合が難しい成分の安定配合を具現化し得るこの技術を応用し、効果感・独自性が高く、魅力的なスキンケア製品開発へつなげていく。
この記事は粧業日報 2024年10月24日号 2ページ 掲載
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