日光ケミカルズ、D5代替品使用原料の開発と参考処方の提案を推進

C&T 2021年3月15日号 50ページ

カンタンに言うと

  • 環状シリコーン規制強化に対応
日光ケミカルズ、D5代替品使用原料の開発と参考処方の提案を推進
 ニッコールグループの日光ケミカルズ(本社=東京)は、長年培ってきたコロイド化学や皮膚科学の知見をベースにグループ7社の総合力を活かして、原料の開発・製造・販売から製剤開発、安全性・有用性評価まで、幅広いニーズに応えるトータルサポートサービスを展開している。

 さらに、パートナーとの共同研究や商社機能を活用して、国内外から安全・安心・安定供給可能な幅広い原料を取り揃え、新しいストーリーやコンセプト提案など差別化を進めている。

 サンケア分野では、関連会社のKOBOディスパテックの製品を販売している。現在、5月のCITE Japanでの提案につなげるため、化粧品開発者を対象としたWebセミナー開催に注力しており、新商品の紹介や同社の取り組みの紹介を行っている。

 KOBOディスパテックは、自社独自の高度な分散技術を活かして、主にサンスクリーン製剤などに用いる微粒子酸化チタンや微粒子酸化亜鉛を様々な分散剤や分散媒を用いてディスパーション化した製品を多くラインナップしている。

 優れたUV遮蔽効果を示しながら高い透明性を実現しているのが最大の特長だ。

 その分散技術により、粒子径を理想的なサイズでコントロールできるため、UV遮蔽効果を最大限に発揮させることができる。

 さらに、油中や水中に安定して粉体を均一分散させることができるため、高濃度の粉体を配合しても白浮きの少ない透明感あるサンスクリーン製剤を実現することが可能だ。

 EUを中心に環状シリコーン化合物の規制が年々強まっていることを受け、環状シリコーンの1つであるシクロペンタシロキサン(D5)の代替オイルとして、ストレートシリコーンオイル(ジメチコン)を選択した「DM2Kシリーズ」を販売する。

 低粘度であり、D5に近い使用感で、化学的に安定しており、特に酸化亜鉛との相性がよく、粉体高濃度化により開発者側での処方の自由度を上げることができる。

 2017年12月に開催された厚生労働省・経済産業省・環境省3省合同審議会においては、シクロテトラシロキサン(D4)及びシクロヘキサシロキサン(D6)が化審法に基づく監視化学物質に指定された一方で、D5は継続的に摂取される場合も、人の健康を損なったり、高次捕食動物の生息又は生育に支障を及ぼすおそれがないと判断されたため、監視化学物質に指定されていない。

 しかし、EUでの規制は年々強化されている。水系における生態影響への懸念から欧州化学品規則により、2020年1月 31日からD4及びD5を0.1%以上使用した「使用後に水で洗い流される製品」の販売が禁止されることとなった。

 さらに、EU委員会は、欧州化学品庁に対して、環状シリコーン化合物(D4、D5及びD6)のすべての化粧品への使用を同規則により規制することについても検討するよう要請している。

 今後は、肌や頭髪などに塗布したままの状態での使用が想定されている製品への規制をはじめ、EUにおける環状シリコーン化合物に対する規制は徐々に強まっていくものとみられる。

 D5は、他の化粧品成分との相溶性が高く、揮発性油剤や溶媒として有用であり、表面張力が低いことから、肌上での拡がり性に優れ、さらっとした感触を有し、 他の成分のべたつき感を軽減するのが特徴で、化粧品市場においても、スキンケア、サンケア、ベースメイクアップのベース油剤として幅広く展開されており、同社においても同様である。

 しかし、今後はEUにおける規制や環境問題への影響などから、ニーズが変化していくことを見据え、D5フリーかつ機能を維持したサンケア原料DM2Kシリーズは非常に注目度が高い原料となっている。

 同原料では、規制対象となっていないシリコーンオイルであるジメチコンをベースとしており、D5と同様の高い透明性および均一性があると評価されている。

 既存品のD5ベースの酸化チタンと新商品のジメチコンベースの酸化チタンの透明性は、目視ではほとんど差がなく、D5ベースの酸化亜鉛とジメチコンベース酸化亜鉛を比較した場合も同様だ。さらに、独自の分散技術でUV遮蔽性アップを実現しており、簡易処理品と比べて、その効果が高い。

 KOBOディスパテックは、原料の開発だけでなく、処方の提案も行っている。ジメチコンは、D5と同等の透明性や均一性を実現する一方で、さらっとした感触を実現する揮発性の高さを持ち合わせていないのが課題であった。

 処方上で、DM2Kシリーズとメチルトリメチコンと組み合わせることにより、Webセミナーにおいては、D5配合製品と同等の使用感を得られるようになった。DM2Kシリーズをはじめ、製品特長に合わせた処方提案も動画などを通じて紹介している。

 「KOBOディスパテックは、サンケア向けの微粒子酸化チタンや微粒子酸化亜鉛の分散物の開発を得意としており、サンケアに特化している。開発だけでなく、EUをはじめとした各国の規制の情報や、業界の動きなどの情報提供、処方提案まで幅広くサポートを行っている。現在、実施しているWebセミナーを通じて、新商品の販促を進めるとともに、お客様に対しどのようなサポートができるのか知っていただきたい」(同社)

 Webセミナーは、サンケア・メイク製品を中心に処方開発から原料紹介、規制に関する情報などを処方開発経験者だけでなく、これから化粧品開発を始める人まで幅広く活用できる内容となっている。KOBOディスパテック社HPにて登録および視聴が可能だ。

 2月8日には、DM2Kシリーズの提案を中心としたセミナーを実施し、各社対応を迫られているD5フリーのコンセプトに合致した分散物と、D5フリーコンセプトの参考処方の紹介を行った。

 3月下旬にも、W/Oサンケア製剤を開発するための基本的な考え方、ノウハウを実際の処方例を用いて開発するとともに、日々進化するサンケア製品市場のトレンドと情報を提供する。
ホーム > 化粧品業界人必読!週刊粧業オンライン > 日光ケミカルズ、D5代替品使用原料の開発と参考処方の提案を推進

ライブラリ・無料
ダウンロードコーナー

刊行物紹介

定期購読はこちら
お仕事紹介ナビ

アクセスランキング

  • 日間
  • 週間
  • 月間
PDF版 ダウンロード販売
化粧品マーケティング情報
調査レポート
株式会社矢野経済研究所
pagetop