週刊粧業 2024年10月14日号 15ページ
サティス製薬(山崎智士社長)ではこのほど、未分化の植物幹細胞を用いて、世界で初めて植物から「ヒト型セラミドNP」の取得に成功した。
従来多くの化粧品で使われている合成セラミドは、肌セラミドよりもサイズが小さく、バリア機能の改善効果が低いといった課題があった。
また、肌には多数のセラミド種が存在し、中でも「セラミドNP」が肌セラミドの中で最も多く含まれる成分だが、加齢や閉経、アトピー性皮膚炎、敏感肌で顕著に減ってしまうセラミドとして知られ、化粧品原料開発者の最重要ターゲットの1つとなっていた。
そこで、こうした課題を解決すべく、2017年より植物からヒト型セラミドNPを取得する研究に着手し、このほど「植物幹細胞セラミドNP」の取得にこぎつけた。
今回、同社が特許を取得した植物幹細胞ヒト型セラミド生産技術は、わずかな葉の切片や数粒の種子があれば量産化が可能なサステナブルなバイオテクノロジーで、自然環境に負担をかけることなく効率的な物質生産が可能だ。絶滅危惧種などの希少な植物の培養細胞を増殖させて産業利用が可能なうえに、培養細胞は適切に自然環境へ戻すことで植物へと成長させることもできるため、生物多様性の保全にもつながるという。
また、同技術では植物の幹細胞からセラミドNPを生産できるだけでなく、各植物の幹細胞エキスも同時に製造可能だ。
これにより、「植物〇〇幹細胞セラミドNP+植物〇〇幹細胞エキス」として、1つの植物幹細胞から2つの高性能化粧品原料が製造できるという。
「高校との産学連携を推進しており、授業では生徒たちが植物組織から細胞を培養し、当社がその細胞を量産化することでセラミドやその他有用成分を取り出す。将来的には、お客様が希望される植物からオーダーメイドでセラミドNPを作ることも可能だ。化粧品ブランドは革新的なオンリーワン原料の配合により、完全な差別化が実現できるだろう」(柚木恵太研究部フェロー)
この記事は週刊粧業 2024年10月14日号 15ページ 掲載
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