経済産業省の上田隆之製造産業局長は、このほど開催された第1回国際化粧品展にて、「化粧品産業の現状と展望」をテーマに基調講演を行った。
上田氏は、1980年に通商産業省(現経済産業省)に入省し、資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長や大臣官房長などの要職を歴任した後、2011年8月より製造産業局長に就任している。
現在、製造業の政策担当トップとして、化粧品やバイオテクノロジーを含めた日本のものづくり産業の発展に努めている。
講演は、「化粧品産業の現状」「日本のものづくりと化粧品産業の今後の方向性」「『もの“創り”』への転換」「『コトづくり』への転換」「『客づくり』への転換」という5章立てで展開された。以下は上田局長の講演要旨である。
化粧品産業の出荷額は約1.4兆円、製造業全体に占める割合は0.5%であるが、医薬品と並んで高付加価値の産業(付加価値率=化粧品約6割(製造業平均約3割))である。化粧品は、嗜好性が強く、納得がいけば値段が高くても購入される商品で、かつ急激な円高の進行にもかかわらず輸出は増加傾向で推移している。ブランド力の維持・向上、商品の差別化を図ることで、今後とも雇用継続、国内生産が可能な産業と言える。
化粧品産業は、高度経済成長による所得の増加、女性の社会進出などにより、出荷額は1965年から1985年までの20年間で10倍と急増したが、1990年代後半からは横ばいで推移し、2009年以降は世界同時不況の影響等から、単価が減少傾向となるなど消費抑制が強まった。
女性の化粧品人口は、ピーク時の2000年には5000万人を超えていたが、2040年には3700万人に減ると見込まれている。今後は、少子高齢化が急速に進む中で国内の化粧品市場は縮小せざるを得ないと思っている。
国内市場が成熟化する中、薬事規制の緩和を契機に2000年以降、医薬品や食品メーカー、総合通販など他業種からの新規参入が急増した。
2009年以降は、急速な景気後退を契機に低価格化が進行し、スキンケア市場では、1000円前後の低価格化粧品が台頭、これまで一般品では中価格帯(3000~5000円)が中心であった大手メーカーも相次いで低価格化粧品市場に新ブランドを投入している。
また最近では、知人やクチコミサイトで使用情報を調査し納得が得られたもののみ購入するなど、消費行動も変化している。
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この記事は週刊粧業 2012年7月30日号 1ページ 掲載
■経産省・上田隆之製造産業局長、化粧品産業の現状と展望を語る~化粧品産業のさらなる発展に向け、転換すべき3つの方向性を示す ◎化粧品産業は付加価値率が高く、今後も国内生産が可能な産業 ◎「もの"創り"」「コトづくり」「客づくり」へと転換し、稼げる製造業に ◎収益力・資金力の強化で研究開発やマーケティング投資を加速すべき ◎国内は社会変化を捉えた施策、海外は地域に合った施策...
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