「唐津市に化粧品の産業都市をつくる」
この構想が実現に向けて走り出した。坂井俊之唐津市長とフランスの化粧品産業集積地「コスメティックバレー」のジャン・ルック・アンセル事務局長が4月12日、フランスにて化粧品産業を通じた経済協力連携協定を締結した。
発端は「コスメティックバレー」設立者で、フランスの天然原料にこだわる化粧品会社アルバン・ミュラーグループ代表のアルバン・ミュラー氏が、東アジア進出の拠点と自社で扱う新原料を求め、2011年に来日したことから始まる。
この時、共通の知人を介して唐津市に本社を置く化粧品成分分析会社ブルームの山崎信二社長と知り合った。山崎社長を通じ、唐津市が東アジア市場へ向けた輸出拠点となる唐津港などのインフラが整っているうえ、化粧品関連企業も多く、メーカー・製造・検査・物流の連携体制が構築されていることを知った。
さらに、アルバン氏が求めていた新原料を栽培できる研究所もあることから、唐津市が「日本版コスメティックバレー」設立の地に選ばれた。
2月には日欧米の企業による合弁会社が設立され、先だっては古川康佐賀県知事も支援に名乗り出た。現在は、企業の活動支援を行うための産学官連携組織「ジャパン・コスメティック・センター(仮)」の設立を進めている。
同計画を首都圏で支える佐賀県首都圏営業本部企業誘致東京本部参与の松尾保氏(写真)は、3年前より企業誘致を担当し、いち早く化粧品産業の可能性に気づいた。もともとの目的は、地元農家の活性化だ。新しい物事に挑戦する意欲は高いが、何をすれば良いか悩む農家も多いのが現状という。
「目的さえみつければ、間違いない品質の作物をつくってくれる。化粧品産業はオーガニックブームがあり、耕作放棄地の有効活用もできる最高の条件が揃っていた」
「日本版コスメティックバレー」では、天然原料の栽培のため、企業と直接契約した農家にはダイレクトに利益がもたらされる。
一刻も早い構想実現のため、松尾氏は今日も東奔西走している。
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この記事は週刊粧業 掲載
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