髪や頭皮への意識が生活者の間で高まる中、エトワール海渡は2013年6月に、「当社が現在でき得る最高級のヘアケア」と称する「ローズ天然シャンプー」「ローズ天然コンディショナー」を発売した。
同シリーズは、各製品400mLで3800円(税別)と通常のヘアケア製品よりも高価格で販売しているが、発売から約半年ですでに1000本を売上げ、毎月、売上本数を更新しているという。
「人は髪で若返る」をコンセプトとするエイジングケアシリーズで、100%天然由来成分であることにこだわり抜いた。高価格ゆえに、社内でも「挑戦」と評される同製品について、2014年の販売戦略も含め紹介する。
競合との差別化に「最高品質」
挑戦価格も順調に売上げを更新
「ローズ」シリーズは、2001年に発売を開始した同社オリジナルコスメブランド「伊豆利島椿」シリーズと同じく「天然由来成分」に発想を得てつくられた。「利島椿」発売の数年後、椿油ブームが起き、椿油の認知が生活者の間に浸透すると、同社の「天然由来」というコンセプトが、顧客から支持を集め、人気製品としての地位を確立した。
その後2006年に同社では、「利島椿」シリーズのリニューアルを行い、その際、高級路線でシャンプーを追加する計画があったが、大手化粧品メーカーが低価格で一般市場に椿油製品を投入した時期だったため対抗するのは難しいと判断され、追加は見送られた。
2008年、ある化粧品OEMメーカーが自社製品として販売しているヘアケア製品のコンセプトや品質に感銘を受け、同社でも取り扱いを開始したところ、価格は4600円と高額だったにもかかわらず、同社のシャンプー部門で年間トップ3に入る売上げの人気製品となった。これをきっかけに、同社の中で「天然由来にこだわった高品質のオリジナルシャンプーをつくりたい」という思いが再燃したという。
そこで、このOEMメーカーに持ちかけ、「ローズ」シリーズとしてオリジナル製品化した。シャンプーは全成分を天然由来とし、コンディショナーも天然由来成分を36種類配合した「髪の美容液」のような製品となった。また、「利島椿」から派生したシリーズであることを訴求するため椿油を配合したほか、同社の顧客に人気のバラの香りを、天然精油を用いて付香しているのも特徴だ。シリコン、合成防腐剤、石油系界面活性剤も使用しないなど、配合成分にも徹底したこだわりを持っている。
「当社からシャンプーを発売するからには、一般市場の競合ブランドとの差別化が求められる。何を訴求点とし、何をお客様に提供するのかを考えた時、自然と追求するのは最高品質の製品だった。3800円の価格は当社としても挑戦だったが、それに見合う価値があるので、自信を持ってご提案できる」(商品部2課サブマネージャー 竹下恵係長)
現在、同製品は化粧品店にとどまらず、ホテルの売店やバラ園などの施設、得意先でもあるブティックなどに導入されている。
認知拡大から店頭展開へシフト
オリジナルブランドの強化も
発売からこれまでの半年間は、製品の認知拡大のためサンプルの無料配布のみに注力していたが、サンプル配布では、買い付けた小売店のオーナー・店長が使って、気に入ったら周囲に勧める程度にとどまることが多く、店頭への本格導入にはもうひと押し必要だったという。
そこで2014年は、卓上用POPのような店頭で使える販促ツールなどの提供を行うなど、店頭での顧客単価拡大につながる施策を展開する方針だ。具体的な施策では、社内でモニターを集め、実際の体験談を本人の顔写真付きで紹介するといった「信頼できる情報」の提供に力を入れる。
また同社の顧客小売店の多くは、お客とのコミュニケーションを大切にしているため、特徴やこだわりがあり話題性のある同シリーズは、推奨しやすいという。
「買う前の期待感だけでなく使用後の満足度が高いため、小売店にとって提案しやすく、リピートにつなげやすい製品だ。今後は、小売店の基幹製品となるように、しっかりと店頭に落とし込む」(営業部ファッション館6階 松本達雄フロア長)
同社では「ローズ」シリーズのラインナップ拡充のほか、既存のオリジナルブランドにもテコ入れを行い、ヘアケア・スキンケアシリーズの展開を強化していきたいとしている。
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この記事は週刊粧業 掲載
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