資生堂、2014年12月より動物実験代替法「h-CLAT」の特許使用を無償化

週刊粧業 2015年1月1日号 46ページ

カンタンに言うと

資生堂、2014年12月より動物実験代替法「h-CLAT」の特許使用を無償化
 資生堂は、花王と2003年から共同開発してきた、実験動物を用いずにヒト由来の培養細胞(細胞株)で化学物質のアレルギー性を正確、迅速かつ低コストで調べることができる皮膚感作性試験代替法「h―CLAT(エイチクラット)」に関する特許使用を12月1日より無償化している。

 「h―CLAT」については、世界共通の公的試験法である「OECDテストガイドライン」化に向けた取組みを積極的に進め、2015年の決定・収載を目指した最終審議がなされる段階に進展している。これを機に、動物実験削減の一助となる「h―CLAT」の普及拡大を図る方針だ。

 同社は、動物実験代替法を中心とした新たな安全性保証体系を確立し、2013年2月に社内外での動物実験の廃止(全廃)を決定した。自社での動物実験廃止にとどまることなく、全世界レベルでの動物実験削減に向けて、動物実験代替法の研究開発と、開発した代替法の公的試験法化に向けた取り組みを国内外で積極的に行っている。

 また、動物実験を廃止するためには、安全性を保証する代替法の確立が必要条件と考え、社内での研究推進はもちろん、業界団体や代替法評価機関との協力関係の構築、産官学との連携など国内外での代替法の開発と、公的試験法化に努めている。

 2010年3月には、世界的に自然志向や動物愛護の考え方が広がる中、動物実験廃止の取り組みに最も先進的な欧州委員会(EU)の法規(EU化粧品指令)も踏まえ、「安全性を厳格に守りながら、動物愛護の観点から化粧品における動物実験の廃止を目指す」ことを宣言。この宣言の後、有識者・学術関係者・動物愛護団体のステークホルダーとともに、「化粧品の成分の動物実験廃止を目指す円卓会議」を開催し、さまざまな議論を重ねてきた。

 円卓会議での議論を反映して、動物実験代替法を中心とした新たな安全性保証体系を確立し、2013年4月より開発に着手する化粧品・医薬部外品における社内外での動物実験の廃止を決定した。ただし、市場にある製品の成分に関して、改めてその安全性を証明する必要が生じ、そのための選択肢が動物実験しかない場合や、一部の国において化粧品の安全性保証に動物実験が不可欠となっている場合は除外している。

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