ナリス化粧品 村岡社長、訪販の魅力高め伝え続ける企業へ

C&T 2017年9月15日号 86ページ

カンタンに言うと

ナリス化粧品 村岡社長、訪販の魅力高め伝え続ける企業へ
 ナリス化粧品は、1960年代より本格的に参入した訪問販売ビジネスで大きく成長し、今年4月に創業85周年を迎えた。

 同社は、独自の研究開発を進め、「業界初」となる技術や製品を発表しており、老化角質や皮脂の汚れなど不要なものを取り除く美容に着目したふきとり用の化粧水(コンク)を1937年に発売した「ふきとり化粧水」のパイオニア企業でもある。そのふきとり化粧水では、2016年に国内シェア1位を獲得している。

 3代目社長の村岡弘義氏に、主力の訪販事業と、その訪販のノウハウを活かして成長を図る他事業の成長戦略について話を聞いた。

新しいナリスファンの獲得へ方針転換
過去の成功体験と決別、進む意識改革

 ――御社は今年で創業85周年を迎えます。主力事業に位置づける訪販化粧品業界は厳しい市場と言われて久しいですが、昨今の市況をどう感じていますか。

 村岡 訪販化粧品業界は、在宅率の低下、核家族化、IT化、販売員の高齢化などの社会環境の変化やその変化スピードにうまく対応しきれず、かれこれ厳しい市況といわれて30年近くになる。

 時期的には1990年代のバブル崩壊以降、従来のビジネスモデルが機能しにくくなっていった。そのためか、最近では「訪販」の魅力を語る人が減ってきてしまった。このこと自体、私はとても残念に思う。

 当社もまた、訪販市場が全盛だった1990年代前半に化粧品売上のピークを迎えた。以降、ピーク時より売上を多少落としたものの、市況の厳しさを照らせば健闘している方ではないだろうか。

 最近10年間を振り返っても、売上に多少の変動こそあれ、堅調な推移だと捉えている。2017年3月期はグループ全体で売上高が前年比1.4%増、経常利益も2.3%増で増収増益を達成することができた。

 昔ながらの訪販スタイルは今後さらに厳しい状況になっていくだろう。加えて、ディーラーの高齢化がさらに進めば、訪販市場が縮小してしまう可能性は十分にある。

 しかしながらそうした市況にあっても、人と人とのコミュニケーションが生み出す訪販の魅力やそのスタイルは、時代の変化に合わせて少しずつ形を変えながら、後生に残る価値があるものであると確信している。

 その魅力を継承していく一社として、業界の活性化に貢献していきたい。

 ――訪販業界の再活性化に向けた自社の取り組みについてお聞かせください。

 村岡 ディーラーはもとより、社員の意識改革を根気強く進めている。

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