ライオンは2018年2月、2030年に向けた新経営ビジョンとその実現に向けた新中期経営計画「LIVE計画」を発表した。
長期ビジョンのもと新たな中期経営計画を作成したのは、進むべき方向性を明確にし、変革に向けた動きを加速させ「次世代ヘルスケアのリーディングカンパニーへ」という大きな目標を達成させるためだ。
2018年の動向と2019年の展望について、1月1日付で社長に就任した掬川正純氏にインタビューした。
スタート直後の「変革の加速」は
部所新設効果もあり一定の成果
――まずは、「LIVE計画(LION Value Evolution Plan)」初年度の2018年を振り返っていただけますか。
掬川 当社が参入している市場については、単価の上昇に支えられ、2018年は微増傾向を維持しています。ここ数年、このトレンドは変わっておらず、2019年も同じような状況になると予測しています。
ただし、2年前に比べて、競争環境と原材料市況は厳しくなっています。市場の成長そのものがかなり緩やかになり、競争環境が厳しくなる中、限られたパイを取り合う状況へと変化しており、今後もこの傾向は続くと見ています。
原材料市況については、数年前までは原油価格も安定していましたが、17年の後半ぐらいから高騰局面に入ってきました。
2018年を総括すると、競争激化による競争費用の増加や、原材料市況高騰による原価高により、事業環境は17年に比べ、非常に厳しかったといえます。原材料市況が今後どう推移していくかはわかりませんが、さらに厳しくなることを織り込んだ上で事業を進めていきます。
一方、少子高齢化により人口減少が進む中、生活者は将来に対する漠然とした不安を払拭できずにいます。
加えて、デジタル化の進展により情報が溢れかえる中、仕事や家事の忙しさが増し、プライベートな時間が確保しづらい状況となっており、平穏な心の状態を保つのが難しくなってきています。
2018年はここに自然災害の多発も加わり、より一層社会不安が高まった1年でもありました。
――「LIVE計画」は、変革に向けた動きを加速させることを根幹としています。「変革の加速」という視点で、2018年を振り返っていただけますか。
掬川 新しい価値を生み、新規事業につなげていくための組織として、昨年は「イノベーションラボ」を新設しました。
これにより、活動そのものの広がりが大きくなったということを考えますと、「変革の加速」はまだスタートしたばかりですが、一定の評価はできると考えています。
コミュニケーションの「リ・デザイン」についても、生活習慣そのものを「もっとさりげなく楽しいものへ変えられますよ」という提案に仕立て直すアクションが具体的にいくつか出てきており、社員の意識が変わり、仕事の仕方そのものが変わってきたという手応えを感じています。