グラセル、従来の発想を超えた化粧品容器開発に挑戦

週刊粧業 2019年5月13日号 9ページ

グラセル、従来の発想を超えた化粧品容器開発に挑戦
 社名変更後10周年を迎えた化粧品容器会社のグラセルは、スキンケアからメークアップ、ヘア&ボディケアに至る全ての化粧品カテゴリーで自社オリジナル容器の開発を強化しており、出展する「第9回化粧品産業技術展」では、「青と白を基調としたヨーロッパのホテル」をブーステーマに、新製品を中心に開発容器を展示する。

 合わせて、海洋プラスチックごみ問題を背景にした環境問題に対し、容器会社として環境対応への取り組みを紹介する。

環境対応容器のプロジェクトを推進
社会課題に向き合う企業姿勢示す

 同社は今回、海洋プラスチックごみの問題をはじめとする地球環境問題への意識を強め、新製品コーナーとともに、環境対応容器を紹介するコーナーを充実させ、容器・包装を取り扱う企業姿勢として環境に対する取り組みを紹介する。

 谷村敏昭社長は、「グラセル創設期は、プラスチック・樹脂容器全盛の時代を迎えており、『デザイン性』と『機能性』に特化して新製品の開発を進めてきたが、ここにきて脱プラ・減プラ社会という新たな時代の流れが世界的に加速している。過去にも環境対応の波は何度かあり、その都度対応してきたが、今回は今まで以上に大きな波だと捉えている。グローバル化が進む中、環境分野で先行するヨーロッパに遅れをとらないよう、注力分野の一つに据え、本格的に取り組んでいく」と意気込みを語った。



 同社は、既に温暖化対策の一素材として注目を集める植物由来のバイオマスプラスチック(以下、バイオプラ)を用いた容器シリーズを取り揃えている。興味をもつ企業は少なくないが、これまでは生産ロット数やコストが合わずに見送られるケースが多かった。

 そうした中、小ロット対応型のバイオプラが徐々に増えてきたことに加え、海洋プラスチックごみの問題が社会問題化したことで、問合せが増えてきていた。そこで、新製品の開発を進める傍ら、昨年から環境対応容器の拡充を検討し、協力工場の選定を進めてきたという。

 「今期(2020年3月期)より、『環境・エコ』をテーマに掲げた新型容器も新たな柱に位置づけ、どこよりも早く対応していくという強い意志をもって環境対応型容器のバリエーションを増やしていく」(谷村社長)

 バイオプラを用いた容器をはじめ、プラスチックの使用比率を減らす代わりに紙の使用比率を高めた新素材容器の開発も進めており、「来年1月には様々な環境対応の要望・ニーズに応えられるようなラインナップを揃えておきたい」(谷村社長)。

 今回の展示ブースでは、その意思表示も込め、試作段階のものも含めて展示し、環境対応容器の可能性を広げていく考えで、リサイクルやリデュースの観点から、ガラス素材の潜在的なニーズも掘り起こしていく。

 「従来のガラス容器の提案ではなく、今の時代や消費者のニーズに合わせ、一ひねり加えてガラス容器の新たな価値創造を図っていく」

 さらに、包装資材の削減、省エネなど間接的に環境対応につながる容器として、新たに開発した「メール便対応」の薄型容器シリーズも展示する。

 環境対応容器への関心の高さは、今年1月に千葉・幕張メッセで開催された「第9回化粧品開発展」に出展した際に確認済みだ。中でもスキンケア用の付け替え・レフィル対応シリーズは、廃棄時の環境負荷軽減につながる容器として好評を得ており、今回も改めて紹介する。

新製品開発の継続・促進が
変化対応力に、新機軸にも挑む

 環境対応を背景にした新たな時代の流れに、谷村社長は「変化が激しい不確実な時代を迎え、先が読みにくい時こそ、新製品を開発し続けることが重要だと捉えている。開発し続ける中で、日の目を見ない製品も当然出てくるだろうが、それでも新しいものを生み出し続けていく」と強調した。

 5年前に本社を移転して以降、日本製コスメの需要拡大も追い風に、業績は2ケタ成長を続けているが、今年は中国で1月に施行された電子商務法の影響から、インバウンド需要に陰りも見えてきた。谷村社長は、「今後も日本製コスメの需要は続くと思われるが、容器の需給バランスが整っていく中で、製品そのものの魅力が問われてくる」と述べ、こう続けた。

 「魅力ある製品は、顧客志向の製品開発だけでは得られない。従来の発想から脱却し、新たな価値を創造するような製品づくりに挑戦していかねばならないと思っている。展示会は、開発力・商品力の評価の場と捉え、来場者の声(評価)を真摯に受け止め、次の製品開発に活かしていきたい」
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