コーセー、クリームレベルの油分を配合した化粧水を開発

粧業日報 2019年7月17日号 1ページ

コーセー、クリームレベルの油分を配合した化粧水を開発
 コーセーは、化粧水でありながら油分を安定に高配合することが可能な「αゲルカプセル化技術」を開発した。この研究成果は、「33rd Conference of The European Colloid and Interface Society」(ベルギー・ルーベン、9月8~13日)にて発表する。

 化粧水は、一般的に油分を多く配合することが技術的に難しいため、乳液やクリームを併用することで油分によるエモリエント効果を補っていたが、近年は簡便なスキンケアが求められる傾向にあり、より高機能な化粧水へのニーズが高まっている。

 こうした背景から、同社では一般的な化粧水のみずみずしさに加えて、クリームのような保湿感と満足感を兼ね備えた新感覚の化粧水の開発を目指した。

 化粧水にクリームのような多量の油分を配合しようとすると、一般的な乳化方法では乳化滴の粒径は1~10μmと大きくなってしまい、乳化滴を安定に維持することは困難だったが、今回のαゲルカプセル化技術を用いて乳化すると、同量の油分でも0.1μm程度の乳化滴にすることができ、クリームと同等レベルの油分量であっても、高い透明度を維持したまま、安定に配合することができるという。

 αゲルとは、六方晶に規則正しく配列した界面活性剤が等間隔に層状に並んでいるラメラ構造体で、従来からクリームや乳液などに粘性を付与することで、コク感などの独特の感触や乳化滴の安定化に寄与してきた。

 今回は、αゲルが油分を多量に配合してもラメラ構造を維持することに着目し、乳化界面に1層のラメラ構造を保持した上で油分を多量に包封したナノサイズのαゲルカプセルを開発した。同技術により従来の化粧水の約5倍(同社比)の油分を化粧水に安定に配合することが可能となった。

 研究では、前腕内側を洗浄・順化後に水分量を測定した後、各種サンプルを7.5μℓ/㎠塗布し、5分後の肌の水分量を測定した。その結果、αゲルカプセル化粧水を塗布すると、従来の化粧水より水分量が高く、さらに従来の化粧水と乳液を併用した場合と比べても水分量が高くなることがわかった。

 同社では、αゲルカプセル化技術を用いることで使用感と機能性を両立した高機能化粧水の開発にこぎつけたことから、油分中でしか安定に存在できない高機能成分を、化粧水でも配合できるようにするなど、さらなる高機能製剤の開発に取り組んでいく。
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