日光ケミカルズ、水添レチノールに新たな抗シワ効果を確認

C&T 2021年6月15日号 48ページ

日光ケミカルズ、水添レチノールに新たな抗シワ効果を確認
 日光ケミカルズは、コロイド化学と皮膚科学をベースにニッコールグループ7社の総合力を活かし、幅広いニーズに応えるトータルサポートサービスを展開している。同グループの中核には総合開発センターのコスモテクニカルセンターを構え、多角的な評価・分析に力を入れている。

 光、熱および酸化に対して安定なレチノール誘導体「NIKKOLレチノールH100」においては、ネプリライシンと呼ばれるエラスターゼに注目した、他のレチノール誘導体にはない独自のシワ改善作用機序を提案する。

 「シワのターゲットとして真皮の寄与は無視できないのではないか」との考えをもとに、真皮線維芽細胞エラスターゼであるネプリライシンに注目し、これまで数々のヒット商品を生み出してきた宇都宮大学の芋川玄爾教授との共同研究を通じて、NIKKOLレチノールH100に新たな抗シワ効果を見出した。

 ネプリライシンは、真皮線維芽細胞の細胞膜に発現し、紫外線などによって活性化されることで、エラスチンを分解する酵素だ。エラスチンが分解されると、皮膚は支えがなくなり凹んでしまうことでシワになるという。

 そこで、様々なレチノール誘導体において、表皮への紫外線照射後に、共存培養した培地中に放出されるネプリライシンを活性化するサイトカイン「GM-CSF」の分泌量とレチノール誘導体の効果を確認する試験を行った。

 実際の皮膚の中では、様々な細胞が相互作用し合って共存していることから、同試験では表皮と真皮を共存環境で培養し、相互作用を確認している。その結果、唯一NIKKOLレチノールH100だけに、GM-CSFの分泌を有意に抑制する作用が確認できた。

 また、表皮への紫外線照射後、共存培養した線維芽細胞におけるネプリライシン発現量の変化を遺伝子発現とタンパク発現で確認したところ、紫外線照射によってネプリライシン発現が増加するものの、NIKKOLレチノールH100の処理により、ネプリライシンの発現が有意に抑制されることがわかった。

 「レチノールのシワ改善効果は広く認知されているが、真皮のエラスチンへの効果はNIKKOLレチノールH100だけに確認できており、他社製品と差別化できるポイントではないか」(同社)

 現在は大規模な臨床実験も進めており、今後はこれらのメカニズムに付随するデータも追加していく。

 同社は、「NIKKOL VA-LINO」の提案にも力を入れている。NIKKOL VA-LINOは、ビタミンAのアンチエイジング作用とリノール酸の美白作用を併せ持つニッコールグループ独自の美容成分であるが、これまでのメカニズムを裏付ける臨床エビデンスを追加し、光老化や夏の暑さに注目した熱ダメージケアに注目したアンチエイジングのコンセプトを提案する。

 ターンオーバー促進作用については、人工的に作った色素沈着が皮膚のターンオーバーに伴って、退色して元の肌色に戻っていく過程の色味を測定することで、どれだけ速く肌色が戻るか(明るくなるか)を評価した。

 30歳~55 歳の20名を対象に、NIKKOL VA-LINO 0.2%配合製剤とプラセボ製剤を前腕に1日2回朝と晩に塗布し、1日後・3日後・7日後・10日後に色味を測定した。

 その結果、プラセボ製剤よりもNIKKOL VA-LINOの方が早い段階で色味が薄くなっており、測定値においても、塗布1日後から7日後まで、プラセボと比較してNIKKOL VA-LINOで有意な改善が確認された。

 顔への2カ月連用(半顔使用)でも効果を確認したところ、NIKKOL VA-LINOの連用で、皮膚の明るさを表すL*値が3近く上昇した。

 ターンオーバーはエイジングとともに遅延するが、NIKKOL VA-LINOはターンオーバーを促進し、できてしまったメラニンを早く排出する。

 ほうれい線の改善作用については、皮膚分析器・アンテラ3Dで取得したほうれい線の3D画像から解析した。

 その結果、プラセボでは、4週間後、8週間後とほうれい線が伸びているが、NIKKOL VA-LINOを連用した場合では、4週間後から8週間後にかけてほうれい線が改善傾向にあることがわかった。NIKKOL VA-LINOの連用によって、周辺の皮膚も滑らかになっている(図)

 なお、NIKKOL VA-LINOは、熱ダメージケアにも対応する。冬場の乾燥や、紫外線曝露がエイジングの原因となることは広く知られているが、暑さも肌の老化を誘導する。

 真皮線維芽細胞に近赤外線と熱処理を行ったところ、真皮の線維形成(コラーゲンやフィブリリン)に大きく影響を及ぼすのは熱処理であることが判明した。

 さらに、線維形成は熱処理で減少するが、NIKKOL VA-LINOによって改善することができる。コントロール実験では、37℃・43℃・45℃と温度が上昇するごとに繊維の量が大きく減少したが、NIKKOL VA-LINOで処理した場合では、減少を大幅に抑えており、熱による肌へのダメージを緩和している。

 「2品とも、アンチエイジングに適した機能性成分であるが、さらに新しい効能効果が見いだされてきている。昨年のIFSCCでも新しい研究成果を発表しているが、これからも世間のニーズに対応したアップデートや新しいメカニズムの発見で新たな価値を提案していく」(同社)
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