●KOLが売上高に与える影響
多くの中国ブランドが有名インフルエンサー(以下、KOL)を起⽤し商品PRをしている。KOLは従来の広告より率直にそして面白く商品を紹介することで、多くのフォロワーから共感を得ており、その影響が購入にまでつながっている。
トップKOLに属する「李佳琦(PR)」は海外からはLipstick King(口紅王子)と呼ばれ、彼が商品をPRするとすぐさまその商品が売り切れになるほど絶大な影響力を持っている。
すでに市場において強固な基盤のある大規模なブランドはKOLを活⽤した商品PRを狙っており、新規ブランドもKOLが⾃社商品をPRするとその波及効果が⾼いことを知っているため、その活⽤に積極的である。
KOLによるPR活動が規模の⼤きなブランドにより効果的なのか、それともあまり知られていないブランドにとってより効果的なのかは(売上高成長率)データ分析によって把握できる。
●エッセンスカテゴリー
まず、スキンケアカテゴリーではすでに中国⼈に愛されているGuerlainのエッセンスと、未だ認知度の低いthe ordinaryのエッセンスを⽐較した。
Guerlainのゴールドエッセンスは去年からエッセンスカテゴリーTop20に入るほど、中国ローカルの消費者の間で有名な商品。2019年4月からは「李佳琦おすすめ」というメッセージを商品説明に入れて販売している。
the ordinaryは2019年6月から「李佳琦が商品をおすすめした」というメッセージをPRに加え、活⽤している。6月を起点とした販売データを調べると次のようになる。
図の黒色の線は李佳琦がGuerlain のエッセンスをPRした時期である。4月の売上高を見ると前月比の売上⾼が325.9%増加している。一方、グレーの線は李佳琦がthe ordinary商品をおすすめしたことをPRし始めた⽉である。6月の売上⾼は前月比14.8%増加している。増加の幅は高くないが、6月の売上高が2019年⽉別売上高で最も高い数値を記録している。
エッセンスカテゴリーで確認できるものはすでに有名な商品がKOLを活⽤してPR活動をした時、より著しい成⻑を遂げたことがわかる。
●口紅カテゴリー
口紅カテゴリーでは 2つの中国ローカルブランドを選定した。⼀つはすでに認知度の高いPerfect diaryであり、もう一つは比較的広く知られていない Mansly である。
Perfect diaryの星动臻⾊⾦钻唇膏(Star dynamic gold diamond lipstick)は2019年春に新発売された口紅で5 ⽉に李佳琦がおすすめした商品である。5月から Perfect diaryは李佳琦がおすすめした商品であることをPRに積極活⽤した。
Manslyは中国風の雰囲気が強く漂うパッケージでカラーメイク商品を作るブランド。4月に李佳琦が等ブランドの商品をおすすめした。
Perfect diaryの5月の売上⾼は前月比53.1%成⻑し、 Manslyの売上⾼は前月比14.8%成長した。エッセンスカテゴリーの結果と同じく、口紅カテゴリーにおいてもKOLの影響は認知度の⾼いブランドでより⽬⽴つ成果を挙げていることがわかる。
すなわち、消費者はKOLのおすすめを信頼してはいるが、すでに認知度の⾼いブランドの商品をおすすめされた場合、該当商品への信頼がより強固となり消費につながりやすくなると予想される。その反⾯、あまり知られていないブランドの場合はKOLのおすすめによって好奇心に駆られた購⼊はあるかもしれないが、持続的な消費にはつながらない可能性がある。
トップKOLを活⽤したPR活動は有名ブランドには効果的かもしれないが、中⼩ブランドにはインプットに⽐べ、アウトプットが期待に及ばないかもしれないので、まずは⽐較的⼩規模なインフルエンサーと協⼒するか、ブランド認知度を⾼めるPR活動を先決する必要がある。
【メジャーチャイナ】(記事提供元)
中国EC・SNSのビッグデータを収集し、ビジネスインサイトを提供するデータ分析会社。中国で取引される6800万個のコスメ商品の売り上げ/価格/効能/原料等の属性別トレンド分析データ、レポートを提供。Unilever,AMOREPACIFIC,LG健康生活 等のグローバルブランド、証券アナリスト等が本社のサービスを利用中。