週刊粧業 2024年2月5日号 2ページ
カンタンに言うと
コロナ禍の2021年4月に、経済産業省主導で化粧品産業ビジョンが策定された。ビジョンは、日本の化粧品産業の持続的な発展と国際競争力の強化を図ることを目的としている。
この数年で環境が大きく変化した。それは化粧品産業も同様だ。アフターコロナ時代を迎え、ビジョンの実現に向けて経産省はどのように考えているのか。
化粧品業界でコンサルティング事業を展開しているソフィアリンクス代表の三原誠史氏と経産省生物化学産業課の堀部敦子氏が、日本の化粧品産業の将来像について対談した。
ビジョン実現へ取り組み再強化、アジア圏での競争力強化が重要
三原 まずは経産省として「化粧品産業ビジョン」を策定するに至った経緯について説明していただけますか。
堀部 ビジョンはコロナ禍の21年4月に発表しているが、構想自体はもっと前の段階から持っていた。日本の化粧品産業は、訪日外国人観光客によるインバウンド需要の拡大とともに、海外への輸出量も増加傾向にあり、19年化粧品出荷統計では過去最高となる1.7兆円を超える産業に成長していた。
この勢いのまま、日本の化粧品産業の国際競争力をどのように高め、どのように持続的な成長を図っていくことができるか。その際に直面する課題を明確化しようということで、産学官で構成する「化粧品産業ビジョン検討会」をスタートさせた。
ただ、そのタイミングでコロナ禍に入ってしまった。インバウンド需要は消失し、マスク着用の常態化やリモートワークの普及によって化粧をする機会が減少し、化粧品の需要が大きく減少するという危機的状況にある中で検討会を進めることになった。
また、海外ではEUのREACHに代表されるような環境規制・基準やSDGsへの取り組みなどが進んでいた。そのようなグローバルのトレンドの変化なども踏まえてビジョンを策定していった。
ビジョンを作ることができたこと自体、成果と言えるが、それ以上に、ビジョン作成に向けて産学官の関係者が一堂に会し、目指すべき産業の将来像について意見を交換し合い、議論できたことが大きな成果だと捉えている。
このような行政主導のビジョンは、まず有識者から意見を聞き、それら意見をもとに行政がまとめていく方法を採ることが多い。しかしながら、今回は産学官の担当者がテーブルを囲み、4回にわたって検討会を行った。化粧品関連では初めての取り組みとなった。
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