●新たな注⽬キーワード
マイクロバイオーム(Microbiome、微⽣物叢)とは、体内の微⽣物が形成する群集を指すもので、これらが肌や体内のバランスを保つ役割をしている。これまでの特別な成分や機能を与えるという考え⽅ではなく、すでに体内にあるマイクロバイオームを活⽤し、肌の健康を取り戻せるという点で、近年市場で⼤きな注⽬を集めてきた。
とりわけスキンケア商品にマイクロバイオームを活⽤した商品が増加傾向にある。また、ニキビ・アトピー性⽪膚炎・乾燥肌など、肌トラブルの改善に効果があることで、化粧品企業が研究開発に注⼒している。
フランスのダーマ化粧品(低刺激・敏感肌向けの化粧品)ブランド、アベンヌ(Avène)は2019年末、韓国で開催したシンポジウムのテーマを「肌マイクロバイオーム」とし、世界中から100名以上の⽪膚科専⾨医を招いて研究結果を発表した。
アベンヌの他にも、ロレアル、アモーレパシフィック(AMOREPACIFIC)等の化粧品企業がマイクロバイオーム関連の商品を発売している。
ロレアルはとりわけこの分野での研究が活発なことで知られている。
ラ ロッシュ ポゼ(LA ROCHE₋POSAY)の新商品である「リピカバームAP+M(Lipikar baume AP+m)」はマイクロバイオームでかゆみを伴う乾燥肌を改善する商品である。主にスキンケアに強みを持っているブランドがマイクロバイオームを活⽤する技術を活かし、市場競争での優位に⽴とうとしている。
●消費者の興味関⼼も上昇傾向に
未だ中国のSNS上でマイクロバイオームを指す「微⽣态、微⽣物」というキーワードはあまり認知されていない。
Weiboでの当該キーワードを含めた投稿数も数少ない。ところが、マイクロバイオームの⼀種である「プロバイオティクス」や「乳酸菌」を検索すると徐々にその関⼼が⾼まりつつあることが⾒て取れる。
左の図はWeiboで当該キーワードが含まれている商品のエンゲージメントを⽰したものである。2019年の1年間で、2つのキーワードに因んだ投稿が次第に増加、年末には急増する傾向を⾒せている。
つまり、消費者にとって「マイクロバイオーム」というワードはまだ馴染みがないかもしれないが、多くの消費者はすでにこれを活⽤した商品を使っているのである。中国国内市場のエッセンスカテゴリー上位ブランドであるランコムの「Genifique」、Estee Lauderの「Advanced Night Repair」もマイクロバイオームを活⽤した商品である。
また、2020年に⼊り、OLAYは酵⺟エキス配合のスキンケアラインであるGolden aura essence lotionを発売し、中国ブランドのCHANDOはランコムのエッセンスと類似した成分を配合したアンチエイジングエッセンスであるTime Frozenエッセンスを販売している。
今年に⼊り、多くのブランドがマイクロバイオーム成分を⾃社商品に取り⼊れており、そうしたグローバルなトレンドに合わせて中国市場でもトレンドになりつつある。
マイクロバイオームは健康⾷品、ヘアケア、インナービューティー、抗がん剤に⾄るまで、多様な分野に適⽤可能であり、多⽅⾯での研究が進められている。強い⾹り、⽬に付くパッケージングを⽤いたアプローチではなく、肌本来の免疫⼒を強めるという点で、これを⽤いた技術は消費者層のニーズを満たすものと判断される。
スキンケアカテゴリーで「マイクロバイオーム」のキーワードが⽬に付く⽇はそう遠くないのかもしれない。
【メジャーチャイナ】(記事提供元)
中国EC・SNSのビッグデータを収集し、ビジネスインサイトを提供するデータ分析会社。中国で取引される6800万個のコスメ商品の売り上げ/価格/効能/原料等を属性別にトレンド分析したデータ、レポートを提供。Unilever,AMOREPACIFIC,LG生活健康, Johnson&Johnson等のグローバルブランド、証券アナリスト等が本社のサービスを利用中。
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