――コロナ禍で美容部員の採用活動が停滞していますが、採用・キャリア支援事業における今後の展望についてお聞かせください。
辻堂 美容部員の採用に関しては昨年まで売り手市場だったが、その中でもトップブランドは常に買い手市場にあった。
従来の書類選考だけでは人材の見極めが難しいため、「動画選考ツール」を新たに導入したいというトップブランドからの要望を受け、販売職の採用に最適な動画選考ツールを開発した。
今年は新型コロナの影響もあり、動画選考ツールを多くの企業に利用いただいた。今後は採用担当者の学校訪問が難しくなっている状況を踏まえ、大学や専門学校などの教育機関に企業説明会の動画を配信するサービスを年末に向けて新たに提案していく。
採用に関しては買い手市場となり、厳選採用の流れは今後も当面続いていくものと推測される。そうなると、学生側の心理としては「受けないと受からない」と考え、美容・エアライン・ホテル・観光・ブライダルといった複数業界を併願する動きが活発化する。
そのため、エントリー数が伸びて企業側の選別が難しくなり、効率的なスクリーニングがますます重要になってくる。
学生側として、本人の能力はもちろん大切だが、本当に第一志望であることを企業へアピールしなければ受からなくなる。
しかし、現時点でどの就活サイトも志望動機や自己PRを記入する画一的なフォーマットで、企業側も効率的なスクリーニングが難しい状況だ。
そこで、当社が運営する就職転職対策サイト「BeautyTree」では、来年から新たに「第一志望エントリー機能」を追加する。
第一志望のエントリーは1人1回で、企業としても第一志望のフラグが立っている人だけをスクリーニングできれば、辞退者も減り、よりスムーズに選考することができる。
学生としても一般的な就活サイトでエントリーするより、このサイトからエントリーした方が第一志望を宣言できるため、メリットがある。
また、エントリーの際には動画選考ツールと連動し、好きなアイテムのPRやメークシーンなどを動画でアピールできるフォーマットを採用している。
求人倍率が下がると、優秀な人ほど内定が集中しやすくなり、意外と辞退者が増える傾向にある。それを防ぐためにも、「動画選考ツール」「第一志望エントリー機能」を提供し、企業と学生にとって効率的な選考をサポートしていく。
サイトの会員登録者は21年卒で約5200人となり、そのうち大学生が60%、専門学校生30%、残りの10%が高校生・短大生という内訳となっている。
これは、全国の美容・エアライン・ホテル・観光・ブライダルに特化した専門学校生のほとんどが利用している計算になる。
現在、美容系の短大・専門学校生の就職支援を行っている企業はほとんどない。
当社としては今後も教育機関と連携し、美容業界やブランド研究、面接対策、自己分析などのキャリア支援事業を継続して領域を徐々に広げていくとともに、そこから美容部員の採用支援につなげていく方針だ。