阪本薬品工業、環境に配慮したサステナブルなサンケア基剤を展開

C&T 2021年3月15日号 52ページ

カンタンに言うと

  • 乳化・分散性能に優れたポリグリセリン脂肪酸エステルを提案
阪本薬品工業、環境に配慮したサステナブルなサンケア基剤を展開
 天然グリセリンの国内トップメーカーである阪本薬品工業は、ヤシ油やパーム油から製造され、人体や環境にやさしいサステナブルな原料を多数ラインナップしている。

 食品や医薬品など幅広い産業で用いられる安全性の高いグリセリンを出発原料とし、乳化・可溶化・分散の各機能に特化した原料としてスキンケアからメークアップ、洗浄剤など幅広い分野で活用されている「ポリグリセリン脂肪酸エステル」をはじめ、化粧品の保湿剤となる「ジグリセリン」「ポリグリセリン」など、多彩な機能性原料を提案している。

 近年、環境に配慮したサステナブルなサンケア製品の開発ニーズが高まっていることから、その基剤として縮合リシノール酸エステル「SYグリスター CRS-75」(表示名称=イソステアリン酸ポリグリセリル-2)と、乳化剤「Sフェイス IS-201P」(同=ポリリシノレイン酸ポリグリセリル-6)を組み合わせたW/O乳化剤が好評を得ているという。

 ポリグリセリン脂肪酸エステルのSフェイスIS-201PとSYグリスターCRS-75を組み合わせることで、環状シリコーン系や炭化水素油系、混合油系などの各種油剤を幅広く乳化し、安定したW/Oエマルションの調製を可能にする。では、各種油剤の具体的な乳化性能をデータで示している。

 「2原料を組み合わせたW/O乳化剤は、幅広い油を乳化するうえベタつきがなく、サンスクリーンではしっとり感が得られ、スキンケア効果を付与したコンセプトのヘアケア製品に最適で、循環型の植物系乳化剤として国内外から幅広く問い合わせをいただいている」(同社)

 サンケア製品の基剤としてはこのほか、紫外線散乱剤に使用される酸化チタン(TiO2)や酸化亜鉛(ZnO)といった無機微粒子粉体の分散剤として、ポリグリセリン脂肪酸エステル「SCIS-101」(同=(イソステアリン酸/コハク酸)ポリグリセリル-10)の提案に注力している。

 SCIS-101は、油脂系油剤中においてTiO2やZnOの分散性に優れ、PEG(ポリエチレングリコール)フリーやノンシリコン処方にも幅広く対応できる。

 最近では欧米を筆頭に、グローバルでノンシリコン処方のサンケア・サンスクリーンがトレンドとなっており、処方設計で用いられる分散剤として一般的にポリヒドロキシステアリン酸が採用されているが、感触がベタつくといった課題がある。



 一方、SCIS-101はポリグリセリン脂肪酸エステルをベースとしているため、保湿効果がありながらもベタつきがなく、肌に対する安全性も高い。

 ポリヒドロキシステアリン酸と分散性能を比較した試験では、SCIS-101の方がTiO2の分散性能が高く、ZnOではほぼ同等の数値となった(図)

 また、高濃度の分散系においても、低粘度で透過性の高い分散物が調製できることが確認されている。

 「PEGフリーやノンシリコンだけでなく、環境に配慮したサステナブルなサンケア基剤としても対応しており、今後の引き合いに期待している」(同社)

 今年1月には、グリセリンとポリグリセリン脂肪酸エステルに関連する最先端の研究機関や異業種などから集約した多様な知見や情報、技術を融合させ、「新たな価値」を生み出す空間として、研究所内(大阪府和泉市)に「Application Lab(アプリケーションラボ)」を開設した。

 アプリケーションラボでは、自由な発想で顧客の製品づくりのアイデアを生み出すカンファレンスルームと、化粧品の処方設計に必要な乳化機や各種分析機器を取り揃え、カンファレンスルームで生み出されたアイデアをその場で具現化する実験室を新設した。

 サステナブルな社会の実現のため、アプリケーションラボではグリセリンとグリセリン誘導体を用いた新たな価値を創出する処方の開発に加え、研究開発で得られた最先端の皮膚科学の知見に基づいた情報発信も行っている。

 「今後はCITE Japan 2021に向けて、サンケア原料の処方例を充実させていくとともに、アプリケーションラボからサンケア原料の新たな処方例をグローバルへと発信していきたい」(同社)
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